そもそも投資に充てるお金は余剰資金でなくてはいけない。生活に必要なお金は投資に充ててはいけないし、無理して捻出する必要もない。まずは少額からでもいいので、無理のない範囲から始めることが重要だ。

投資を始める際に知っておくべき「複利」の概念

無理のない範囲から始める理由は他にもある。無くなってもいいお金など存在しないが、投資に充てているお金が余剰資金であれば、目先の増減に一喜一憂することはなくなるからだ。

どれだけ投資や経済に関する知識・経験を積み上げたとしても、将来を正確に予測できるようにはならない。長い投資生活を送る中で、時には評価損が大きくなる瞬間もあるだろうし、逆に評価益が大きく膨らむ瞬間もあるだろう。

しかし、相場の動きに応じてその都度売買を頻繁に繰り返しているようでは、人生における多くのリソースを投資に充てないといけなくなってしまう。専業の投資家でもない限り、そのようなライフスタイルは送れないだろうし、送りたくもないだろう。多くの人は家族や友人との時間、仕事、趣味など、さまざまなことにリソースを充てることになるからだ。

また、長期投資をすることで複利の効果が働くことも理解しておくべきだろう。100万円投資して、1年後に105万円になったら増えた5万円を引き出して、翌年も100万円を投資に回すよりも、増えた5万円もそのまま投資し続けた方が効率的に資産を増やすことができるという考え方だ。金融リテラシーを測った際に、国際的にみて日本人は複利の理解が平均よりも低いという調査があるが、投資を始めるのであれば複利の概念は知っておく必要がある。

複数の企業の株に分散させる投資でリスクを低減

投資を始めようとしても、いざ本当にお金を投資に充てようとすると怖いものだ。その感覚は決して間違っていない。しかし、怖がっていたらいつまで経っても始められないし、怖いと思いながら続けるのもつらいだろう。

そこで、重要になってくることがリスクを低減させるということだ。リスクを低減する代表的な方法の1つに分散投資がある。

投資初心者が身につけておくべき基礎知識──長期、分散、つみたて、低コスト
 

分散と一言でいっても、さまざまな種類の分散がある。その1つが、投資先を1社の株に集中させるのではなく、複数の企業の株に分散させる投資だ。そうすることによって、仮に投資先の1社の株価が大幅に下落してしまっても、投資資産への影響を低減させるということだ。

次に投資対象の資産の種類を分散することが挙げられる。株式だけでなく、債券や不動産、原油や金などのコモディティ(商品)にも投資をするのだ。そして、投資タイミングを分散するという方法もある。株式市場が大きく下落した時に「チャンスだ!」と決め打ちするのではなく、たとえば毎月定額を同じ投資対象に投資し続ければ、投資タイミングを計る必要がなくなる。いわゆる「つみたて投資」という手法だ。