ゲシピ代表取締役CEOの真鍋拓也氏(左)と取締役CTOの松井謙氏(右)
ゲシピ代表取締役CEOの真鍋拓也氏(左)と取締役CTOの松井謙氏(右)

現在ゲシピでは「ゲームの時間を学びの時間に変えていく」というコンセプトのもと、eスポーツ英会話とeスポーツジムを展開している。eスポーツを事業のテーマにしているのは、真鍋氏の中学生時代の体験の影響が大きい。

「中学生時代に、ゲームセンターで『ストリートファイター2』にハマったんです。ゲームそのものはもちろんですが、それ以上にゲームセンターに集まる人たちとのコミュニケーションが楽しかった。性別や世代、職業などの枠を超えていろいろな人と接する中で、振り返ってみるとその経験から学んだことがいくつもありました。それがきっかけでゲームと学びをテーマに事業に挑戦したいと考えるようになったんです」(真鍋氏)

起業時に考えていたアイデアは、短い動画でゲームのテクニックが学べるアプリだ。料理レシピ動画サービスからヒントを得て、ゲームとレシピを掛け合わせるかたちで「ゲシピ」と名付けた。

ローンチしてみると、ユーザーは順調に増え、MAU(月間利用者数)は40万人ほどまでに成長した。ただ、肝心の継続率が伸びない。新しいユーザーを獲得しても、すぐに離れてしまうためマネタイズに苦戦し、最終的には投資家から集めていた資金が尽きてしまったという。

それ以降も受託事業をやりながらなんとか食いつなぎつつ、eスポーツ×教育領域で事業に挑戦してきた真鍋氏たち。その中で立ち上がったのが、現在も運営しているeスポーツジムやeスポーツ英会話だ。

ゲシピでは東京メトロとの協業で、東京メトロ南北線赤羽岩淵駅直結にeスポーツジムも展開している
ゲシピでは東京メトロとの協業で、東京メトロ南北線赤羽岩淵駅直結にeスポーツジムも展開している

“メタバース教育企業”としてさらなる挑戦へ

特に投資事業として強化しているeスポーツ英会話を始めたきっかけは、真鍋氏自身の子どもがコロナ禍の一斉休講で外出できなくなってしまったことだった。

「外に出られないので1日に6〜7時間もフォートナイトをしている。僕自身もゲームが好きでしたが、流石にこの状況は良くないとも思いました。その時に考えたのが『ゲームの時間をもっと価値あるものに変えられないか』ということ。(当時eスポーツジムの準備をしていたため)eスポーツ英会話のようなアイデアはあったものの、イベントのようなものを想定していて、事業になるとまでは想像していませんでした。ただ、実際に子どもに試してもらったところ『ものすごく面白い』といってくれたので、事業化できる可能性があるかもしれないと考えるようになったんです」(真鍋氏)

かつての失敗体験もあったので、ローンチから半年間は12人だけに使ってもらい、ひたすらカリキュラムやサービスの改良に時間を費やした。