Beamを起業した理由は、自家用車を代替するような優れた移動手段が、まだ存在していないと考えたからです。モビリティは日常生活に深く浸透していますので、決して簡単な領域ではありません。我々には3つの重要なステークホルダーがいます。多くのスタートアップはユーザーのみを重要視していますが、Beamではユーザーに加えて、地域社会、そして都市との関係性も重要視しています。

強みはテクノロジーを活用した安全施策

──国内でも海外でも、電動キックボードのユーザーによる危険走行や、歩行者との接触事故に関する報道をよく目にします。Beamを安全なサービスとして提供するための取り組みは。

電動キックボードでも、自動車でも、公共交通機関でも、A地点からB地点への移動を安全にする上で、いくつかの重要な要素があります。

1つ目は、その乗り物が制限速度を遵守しているかどうか。2つ目は、運転手に運転能力があるかどうか。そして3つ目は、乗り物自体が安全であるかどうかです。Beamではテクノロジーを活用することで、これらの要素における安全性を担保しています。

現在、個人所有の電動キックボードには、危険なほどの最高時速を出せるものもあります。一方、Beamの機体にはIoTデバイスを搭載しているため、最高時速をコントロールすることが可能です。機体の位置情報に基づいて制限速度を設定することができるので、例えばある道路では最高速度25キロメートル、別の道路では15キロメートル、歩行者が多いエリアでは乗車禁止、といった具合に制御することが可能です。Beamでは展開する各都市ごとに最適な最高速度を設定しています。

自動車を運転するドライバーはお酒を何杯飲んでいても、運転することは可能です。一方、Beamでは機体のふらつきを検知することができます。そのため、危険走行をしているユーザーのアカウントを凍結することも可能です。飲酒運転のほかにも、歩行者にぶつかりそうだったり、急ブレーキをかけたりするといった行動も検知し、アプリを介してユーザーに注意を促します。

また、自動車やバイクは走ろうと思えば歩道を走ることもできます。Beamでは機体に搭載するAIカメラを開発中で、これを実装すれば、車道と歩道で異なる最高速度を設定したり、歩道では停止させることも可能となります。

──電動キックボードのシェアリングサービスを運営する上で最も重要なのは安全性の担保だと思います。一方で、Beamはスタートアップのため、スケールしなければなりません。安全性と収益性のバランスをどのように考えていますか。