安全性と収益性、どちらも重要です。安全でないモビリティサービスはスケールしていくことは難しく、逆に安全なサービスは広く社会に受け入れられ、スケールしていくのだと思っています。

100年前、自動車が発明されたばかりの頃、都市は歩行者と馬のために設計されており、自動車のためのインフラはありませんでした。当時、自動車は最も危険な乗り物だとみなされていました。自動車のような“機械”は動物のように考えることができず、歩行者をひき殺すこともあるため、自動車に対する抗議運動は盛んに行われていました。

しかし、自動車に乗れば馬よりもずっと速く便利に移動できるため、やがて多くの規制が緩和され、インフラも整いました。そして現在、都市におけるインフラは自動車社会を前提に開発されたものとなっています。

現在、多くの都市ではマイクロモビリティをより安全にするために、自転車レーンや小型電気自動車向けのインフラを整備しています。100年前に自動車が登場した頃よりも、遥かに速いペースで整備が進んでいます。

日本では数カ月以内にサービスを開始

──日本での展開はいつ頃開始する予定ですか。国内ではスタートアップのLuupや米国大手サービスの「Bird」などが既にサービス展開していますが、競合サービスにはないBeamの強みとは。

Beamでは数カ月以内に日本展開を開始する予定です。日本は非常にユニークな市場で、それは他の多くの業界でも同じことが言えるでしょう。そのため、現地に根ざした体験を提供できるよう、細心の注意を払いたいと考えています。

マイクロモビリティは、これまでの歴史にない新しいサービスのため、都市や地域との関わりが非常に重要です。日本でも都市と積極的に対話し、ただ機体を持ち込むのではなく、マイクロモビリティの利点やBeamが持つ技術が都市にどのような好影響をもたらすのかを、きちんと説明している最中です。

Beamとしては、他のすべての競合サービスと協力してマイクロモビリティの普及を推進していきたいと考えています。マイクロモビリティは短距離移動に使われるものです。電動キックボードは数キロメートル先までの移動手段であり、数キロを移動するために、1キロメートル先の電動キックボードまで歩く人はいません。

カフェやコンビニと同じようなビジネスでしょうか。ユーザーは一番近くにある電動キックボードを利用する傾向にあります。カフェやコンビニが進化し、細分化していったように、マイクロモビリティ市場においてもさまざまな勝者が出てくることでしょう。