ミロ・ジャパンでは2024年までに国内で500万以上のユーザーと1万件の有料顧客組織の獲得を目指している。だがコロナ禍が沈静化しつつある日本では、従業員をオフィスに呼び戻している企業も少なくない。「オフィス勤務が再び常態化すればMiroの需要は低減するのではないか」と聞くと、五十嵐氏は「たとえ従業員がオフィスに戻っても、Miroの価値は変わらない」と即答した。

「Miroが誕生したのは11年前。コロナ禍でリモートワークが普及するよりもずっと前です。Miroのような、社員一人ひとりの声を反映してプロジェクトを作っていくためのプラットフォームには、当時からニーズがありました」

「物理的にミーティングルームに集まって、ホワイトボードにアイデアを書き出したとしても、そのホワイトボードを永続的に保持しておくことはできません。保持できたとしても、時間や場所の制限はあります。Miroが推進するような“新しい働き方”に関するニーズは減らないと思います」(五十嵐氏)

日本拡大における肝は日本語化にとどまらないローカリゼーション

情報共有ツール「Notion」を開発する米スタートアップ・Notion Labs CEOのアイバン・ザオ氏も日本語版の提供について「とても高いクオリティが求められている」と説明していた。単なるサービスの日本語化だけでなく、カスタマーサポートといった体制についても日本人向けに最適化した「ローカリゼーション」が求められるからだ。

Miroの五十嵐氏は「特にカスタマーサクセスの体制強化に注力していく」と宣言していたが、単にサービスを日本語化するだけでなく、「知る、使う、サポートを受ける」といったすべてのプロセスにおいてユーザーが自然だと感じられるローカリゼーションが、Miroの日本拡大における肝となりそうだ。