西武池袋はヨドバシ化で面積半減…激震の百貨店業界、「王者・伊勢丹」が見せる底力Photo:PIXTA

上場49社超、15業界における月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「【月次版】業界天気図」。今回は、2024年3~5月度の百貨店編だ。

西武池袋は百貨店が半減!競争は新ステージへ

 6月21日、そごう・西武を買収した米ファンドと連携するヨドバシホールディングスが、西武池袋本店の改修地に美容家電や化粧品の専門店をオープンした。2023年9月にセブン&アイ・ホールディングスがそごう・西武を売却して以降、西武池袋本店をめぐっては利害関係者の対立が続いていた。美容家電や化粧品は訪日外国人(インバウンド)や若年層の購買意欲が強く、そうした商品に特化した百貨店風の専門店形態が成功するのか、注目を集めている。

 一方のそごう・西武は、西武池袋本店を25年1月から段階的にリニューアルオープンすると発表した。ヨドバシによる家電量販店の出店で百貨店面積は半減するため、高級ブランドや化粧品、食品に特化する形で全面改装するという。

 本連載【月次版】業界天気図では、20年秋から主要な百貨店各社の月次業績を定点観測し分析してきた。その対象となる、大丸松坂屋、三越伊勢丹、高島屋、3社の月次業績を約4年半分振り返りながら、百貨店業界の最新の傾向をつかんでいこう。

 百貨店の主要3社が発表した24年3~5月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯大丸松坂屋(J.フロント リテイリング)の既存店売上高
3月度:前年同月比114.3%(14.3%増)
4月度:前年同月比113.2%(13.2%増)
5月度:前年同月比121.4%(21.4%増)

◯三越伊勢丹(三越伊勢丹ホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
3月度:前年同月比114.0%(14.0%増)
4月度:前年同月比114.2%(14.2%増)
5月度:前年同月比121.3%(21.3%増)

◯髙島屋(髙島屋)の既存店売上高
3月度:前年同月比116.8%(16.8%増)
4月度:前年同月比115.8%(15.8%増)
5月度:前年同月比120.1%(20.1%増)

 直近3カ月は、3社とも前年実績を上回り、2桁増収となった。ところが、時間軸を広げて約4年分を分析すると、印象がまたガラリと変わる。次のページで詳しく見ていこう。