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「メモ」と「Q&A」で埋もれている個人の知見を発掘

Qastの投稿画面(メモ)
Qastの投稿画面(メモ)

Qastでは大きく「メモ」と「Q&A」という2つの方法でナレッジを共有していく。メモはユーザーが自身のナレッジを投稿するシンプルな機能で、多くの社内Wikiや社内ポータルの仕組みと同様だ。

もう1つのQ&Aは社員が困っていることや知りたいことを“質問”として投稿し、その質問に別のメンバーが回答をすることでその内容がナレッジとして蓄積されていくというもの。吉田氏によるとナレッジの投稿が進まない1番の理由は「何を投稿していいのか分からないこと」であり、このQ&A機能が個人の知見を引き出す上で重要なのだという。

Q&Aを通じてナレッジが蓄積されていく機能もある
Q&Aを通じてナレッジが蓄積されていく機能もある

投稿回数や内容に応じてスコアやバッジなどが付与される仕組みも備わっており、それが投稿のモチベーションにつながる。企業によってはこのスコアやバッジを人事評価に取り入れているケースもあるそうだ。

気になるナレッジにはタグやキーワード検索を通じて効率的にアクセスできる。投稿時にキーワードを読み取って自動でタグを付与する機能が搭載されているため、投稿する側はどのタグを付けるべきか迷わずに済み、探す側もタグを頼りに目当てのナレッジを探しやすい。

Qastの画面イメージ。右上にタグが表示されており、そこからよく使われているタグが付与された投稿にすぐアクセスできる
Qastの画面イメージ。右上にタグが表示されており、そこからよく使われているタグが付与された投稿にすぐアクセスできる

キーワード検索機能もQastが力を入れて磨いてきた機能の1つだ。たとえば同義語検索によって“会議”というキーワードで検索した際に、“ミーティング”や“MTG”など略語や同義語を含む投稿も表示される。Qast上で共有されているPDFなどファイル内のキーワードも検索対象となる。

利用料金はスタンダードプランは1ユーザーあたり月額600円、エンタープライズプランは月額900円だ。

後発でも「従業員500人以上の非IT企業」に勝機

冒頭でも触れた通り、Qastのアイデアには吉田氏が創業前にアドテク系の企業で働いていた際の体験が大きく影響している。

「ネット広告の配信システムの法人営業をしていたので、顧客からシステム関連の要望をいただくことがよくありました。その際に社内エンジニアにさまざまな質問をするのですが、なかなか返答が返ってこず、直接エンジニアフロアに行って聞いてみると『以前他の人に答えたから聞いてみて』と言われる。よくよく考えると、自分にとっては初めての質問でも、彼らは同じようなことを何度も聞かれていたのだと思います。世の中のさまざまな情報はネットで簡単に検索できるような時代なのに、社内の情報はそうなってない。そこに課題を感じました」(吉田氏)

起業当初はコンシューマー向けのメディアや漫画アプリなどを開発してきたが、方向転換を決断。世の中の課題を根本的に解決するようなサービスにじっくり取り組みたいと考えた結果、かつて自分自身も課題を感じたナレッジマネジメントの領域で挑戦する道を選んだ。