Sanuは不動産アセットマネジメント会社や不動産投資家から投資を受け、彼らが保有する土地を借主の立場として利用し、そこにSANU CABINを建設し運用する。会員からの収入をもとに、賃料を支払うスキームとなっているため、「時間とコストをかけずに建設できている」と福島氏は語る。

2024年に20拠点200棟の運営体制を目指す

もちろん、不動産開発には一定の資金が必要だ。それに関しても、Sanuは2019年11月の創業から現時点で累計約50億円の資金を調達している。福島氏曰く、「需要を先に見える化したことで、一定の資金を調達することができている」とのこと。

「不動産という巨大な産業において、新興プレーヤーであるSanuがいきなり数百億円の資金を調達するという戦い方はできません。だからこそ、まずは会員権の申し込みという形で需要を見える化し、その需要をもって資金を調達し、新たに拠点を開発していく。これが巨大な産業に新興プレーヤーとして参入するときの戦い方かなと思います」

福島氏が例として挙げたのが、自動車メーカーの米Tesla(テスラ)だ。テスラは高品質、高単価の少ないモデルを小ロットで生産することで、常に供給よりも需要が上回る形にした。そうしてブランドを確立し、顧客の声を聞きながら、少しずつモデルをアップデートして次のロットを生産していっている。「そのモデルを不動産市場に取り入れようとしているのが、SANU 2nd Homeなのかなと思っています」(福島氏)。

実際、SANU CABINの中の細かな仕様はユーザーの声をもとにアップデートが可能となっており、ユーザーからの要望を受け、愛犬と泊まれるキャビンも開発したという。

今後、Sanuは調達した資金をもとに2024年に20拠点200棟の運営体制を目指し、拠点開発を加速させるための準備やソフトウェア開発、人材採用に力を入れていくという。「200棟でも足りないくらいの勢いでニーズが拡大しているので、よりスピーディーに多くの拠点を立ち上げていければ」と福島氏は抱負を語った。