タグを追加するだけでECサイト上に「お試し」ボタンを設置できる
実際のECサイトのイメージ。タグを追加するだけでサイト上に「お試し」ボタンを設置できる

Free Standard取締役COOの野村晃裕氏によると、自社ECでの購入率は平均で0.5〜1%程度と言われており、残りの約99%の消費者は未購入という選択肢を選んでいる状態だ。

実際に同社が話をしているブランドに関しても「自社ECでの購入確率」を向上させるために既存のマーケティングツールによるポップアップやクーポンといった施策をやり尽くし、その上でより効果的な選択肢を探しているケースが多いという。

特にニーズが高いのが、自社製品に自信があり「1度試してもらえればその価値が伝わる」と考えているブランド。必ずしもお試しの選択肢を足すことで劇的に数字が変わるわけではないとしても、「購入しないという選択をしていたユーザーの1〜2%がお試しを選ぶだけでも、自社ECの売上が2倍になる可能性がある」(野村氏)。

またRetailorではもう1つの機能としてブランドが独自のリユースサイトを構築するための仕組みも提供している。これに関しても単にリユースサイトの開発だけでなく、お試し機能と同様に商品の収集、真贋確認、メンテナンス、保管、撮影といった一連のオペレーションをまるっと請け負うかたちだ。

近年は国内でもEC市場の成長とともに競争が激しくなってきており、ECモール内での価格競争やフリマアプリを始めとした二次流通マーケットの普及により「安く、お得に買える」のが当たり前になりつつある。

それは裏を返せば「お得じゃなければ買わないという消費行動が広がっている」(張本氏)ことでもあり、「ブランドとしてもそのような時代の変化を見て見ぬ振りができなくなってきている状況」だという。

もっとも、自社でゼロからリユースサイトを構築し、一連のオペレーションを回していくためのリソースや知見があるブランドは限られる。それがネックになって自社ECでのリユースを諦めてきたブランドも多く、そういったブランドをサポートするのがRetailorの役割だ。

この領域ではアウトドアブランドの「パタゴニア」などのリユースサイトをサポートする米Troveが事業を拡大しており、すでに累計で1億2000万ドル以上を調達している。

同様のニーズは日本でも存在するというのがFree Standardの考え。個別の会社ごとにサイトを構築し、オペレーションのサポートをするため初期は“受託”のようなモデルにも近くなるが、今後は共通する部分をプロダクトに落とし込むなど「テクノロジーで効率化する部分」を徐々に増やしていく計画だ。