3つのサービスで生活者と医療機関に適切な医療を提案

現在、Ubieが提供しているサービスは3つある。医療機関向けの「ユビーAI問診」、生活者向けの症状検索エンジン「ユビー」、そして医療機関と生活者向けのサービスである「ユビーリンク」だ。

ユビーAI問診は、紙の問診票に変わるものとなる。来院予定のある患者に、手持ちのスマートフォンでウェブ問診をしてもらうことで待ち時間を減らすことができ、コロナ感染拡大防止にもつながる。来院前にウェブ問診を行えなかった場合でも、院内にタブレットを備えれば同様のウェブ問診を受けてもらえる。

問診結果はそのまま医師に共有されるため、イチから患者に聴取する必要がない。その結果、問診時間の削減につながるうえ、問診内容が文章に変換されるため、電子カルテへの記載にかかっていた時間を短縮させることができる。日本頭痛学会抄録によれば、初診問診の時間が約10.2分から3分の1の約3.5分に短縮された。これにより、医師1人あたり年間約1000時間の業務削減が可能になる。

症状検索のユビーは、生活者が体に違和感を覚えた際、ウェブブラウザまたはアプリを使って、自分の症状を選択していくだけで(途中、不具合のある箇所を入力することで症状を絞り込む箇所もある)、関連する病名や適切な受診先情報を調べられ、それにより受診を促すサービスだ。MAUは現在500万人。選べる症状はウェブブラウザなら3つ、アプリなら5つになる。最も関連があると思われる病名から順に表示され、病名詳細をタップまたはクリックして開くと、生活者が選択した以外の症状も表示される。これにより、自分に当てはまっているかどうかの参考にしやすくなる。

ユビーが地域のクリニック、かかりつけ医の中から適切な医療機関情報を提供するため、生活者は、かかりつけ医や地域のクリニックなどからどこを選べばよいのか判断したり悩んだりする手間を省くことができる。加えて、#7119などの救急相談センターや厚生労働省といった公的な電話相談窓口への案内も行う。

ユビーリンクは、医療機関の詳細情報を生活者向けサービスであるユビーで表示し、予約しやすくする、あるいは症状チェック結果を医療機関へ事前に共有するなど、裏方のサービスとなる。医療機関の導入は無料で、全国47都道府県にある医療機関の15%が導入する。

阿部氏は、Ubieを起業した理由について「自覚症状があっても病気だと認識できず放置されたままの病気を治してもらいたかった」と言う。そんな病気の1つが「HAE(遺伝性血管性浮腫)」だ。