医療のひっ迫──この表現が、最近、とみに聞こえてくるようになった。新型コロナウイルス感染症に罹患してしまった、またはそうかもしれないという人たちで発熱外来があふれ、検査の多さや病床使用率の高まりから、医療従事者たちが休む間もなく対応に追われていることに起因する。
患者となり得る人(以下、生活者)は、元来、自分の症状からどの病気なのかを判断することが難しいし、そのため病院を選ぶのも難しい。特に最近では、感染症対策のため、受診には予約を必須とする病院が増えたこともあり、病院へ足を運ぶのが、より難しくなっている。それは、重症化へとつながるおそれがある。
これらの課題を解決するためにスタートアップのUbie(ユビー)が提供しているのが、医療機関向け「ユビーAI問診」と生活者向け症状検索エンジン「ユビー」だ。
そのUbieが第三者割当増資で35億円の資金調達を実施した。既存株主のスズケンに加えて、新規に農林中金キャピタル、NVenture Capital、第一生命保険、エッグフォワードが投資に加わった。これにより、累計調達額は79.8億円となった。同社にとってシリーズCとなる今回の資金調達だが、現時点ではファーストクローズとしており、今後のファイナンスも視野に入れている。
では、なぜこのタイミングで資金調達を実施したのだろうか。既存のユビーAI問診やユビーは、どのように医療従事者や生活者が抱える悩みを解決するのだろうか。Ubie共同代表取締役で医師の阿部吉倫氏に聞いた。