松竹ベンチャーズ取締役・常務執行役員の森川朋彦氏
松竹ベンチャーズ取締役・常務執行役員の森川朋彦氏

Web3領域にも注目、グローバルでも評価されるサービスやコンテンツをどう作るか?

──今後、松竹ベンチャーズはどのような取り組みを行っていく予定ですか。

昨今のエンターテインメント業界はK-POPやKドラマなど“韓国発のコンテンツ”が世界を席巻しています。韓国はもともと、国内の市場規模が小さかったためグローバルに展開しなければならず、その結果が今に繋がっています。逆に日本は国内の市場規模でそこそこ食えてしまうため、なかなかグローバルに展開できずにいました。しかし、これからは日本もどんどんグローバルに打って出ていかなければいけないと思っています。

従来のやり方では国内市場で完結してしまっていたので、グローバルの壁を破っていくことはできなかったのですが、松竹ベンチャーズを通してスタートアップとの取り組みを増やしていくことで、グローバルでも評価されるサービスやコンテンツをつくっていきたいです。

──そういった意味では、Web3なども注目しているのでしょうか。

とても注目しているテーマのひとつです。こうしたトレンドも、今までは「何か盛り上がっているね」で終わっていたのですが、今は「松竹としては、こうしたビジネスの可能性もあるのではないか」という議論ができるようになってきました。今後、スタートアップと組んでNFT関連のプロジェクトをやるといったことも全然可能性はあると思います。

実際、先日弊社の代官山メタバーススタジオでCG背景と俳優の演技をリアルタイムで合成して演出する歌舞伎『META歌舞伎 Genji Memories』を実施しました。

これは若手の飛田紗里がプロデューサーとして動いたプロジェクトですが、公演が終わったあとに、劇中のシーンを分割し「META歌舞伎 NFT」として商品化するといった取り組み実施したんです。NFTを活用したコンテンツの展開に関しては、マーケットプレイスへの出品(編集部注:META歌舞伎はNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」に出品している)だけでなく、他社との新しいコラボレーションや世界にコンテンツを発信する表現者・クリエイターの支援などを目的としたプラットフォームもリリースしていければ、と考えています。

『META歌舞伎 Genji Memories』のプロデューサーを務めた、松竹ベンチャーズ執行役員の飛田紗里氏
『META歌舞伎 Genji Memories』のプロデューサーを務めた、松竹ベンチャーズ執行役員の飛田紗里氏

また投資に関しては、スタートアップ側からの話を待つのではなく、エンターテインメント業界で長くやってきた私たちが「一緒にやりましょう」とアプローチしていくことが大事になると思っています。10月開催予定のアクセラレータープログラムも含めて、松竹ベンチャーズからどんどん取り組みを仕掛けていければと思っています。