「さまざまなグッズメーカーを訪問して驚いたのが、大手IPや人気グッズを製造販売している会社であっても、必ずしも事業としてもうかっているわけではないということです。業界特有の産業構造に加えて、日本のものづくりは『コスパ良く作る』考えもあり、そのしわ寄せが(メーカー側に)いっているケースもある。技術や情熱はものすごいのに、会社としては赤字。そのようなメーカーが1社でも多く持続できるような仕組みを作りたいという思いがあります」

「海外に目を向けると(メーカーの製品に)ものすごく価値を感じてくれる人がいる可能性もある。NFTを活用すれば最初からグローバルで挑戦がしやすいですし、うまくいけば(NFTが)ものづくりに情熱を注いでいる人たちの取り組みをアップデートする武器にもなり得ると考えています」(古橋氏)

MASKED GIRLS NFTではNFTとフィギュアをセットにすることで「NFTの後ろ盾として、フィギュアがその価値を一定裏付ける仕組み」を構築。フィギュアが1〜2年後を目安に届く設計なども含めて、投機的な目的で短期間で売買されるのではなく、ユーザーが長期間に渡って保有したくなるような体験を目指す。

NFT自体も安価に販売をするのではなく、始めから独自性のある高品質なものを高価格で提供していく計画。調整中ではあるが、NFTのセールのタイミングでは1体あたり0.25〜0.35ETH(日本円で6万円前後)の価格帯で、最大1500体分を販売していく予定だ。

その観点でも「クオリティの高いフィギュアを製作する必要があり、海洋堂さんと一緒にやれることは大きい」と古橋氏は話す。

NFIGUREとしてはMASKED GIRLS NFTを通じて得られた知見を、ゆくゆくは他のメーカーやクリエーターにも提供していく狙い。1つの「プロジェクト」からスタートし、次のステップではそのノウハウを詰め込んだ「プロダクト」を開発することで、NFTを活用しながらものづくりに取り組む企業や個人を支援したいという。

「自分たちが目指していくのはグローバルで戦えるIPカンパニーです。自分たち自身がIPを保有しているという側面もあれば、いろいろな人がオリジナルのIPを作るための仕組みも提供したいと考えています。今の段階では『ふざけるな』と言われると思うのですが、理想としては任天堂のような企業になりたいです。Nintendo Switchのようなハードウェアも作るし、マリオのようなIPも手がける。そんな企業を目指していきます」(古橋氏)