日本には「法律はあるんだけれども、テクノロジーを意識していない時代に作られたものなので、今その当てはめ方が分からない」ということが散見されていると思います。そういうものすべてが「“白”ではないとやってはいけない」となると難しい。

海外でも国によって違うんですが、例えば「ルールが決まっていないところはみんながやってみて、問題が起きて線引きをする」というケースもあります。それが日本だと縮こまってしまうところはあります。法整備や世の中の慣習が整備されていない中で戦うのは非常に難しいところがあると思っています(編集部注:Thirdverseは海外法人を持っているが、税務上の観点などからシンガポールにある開発子会社・SWORD PTE. LTD.からゲームを提供することも計画する。冒頭で紹介したキャプテン翼のゲームもSWORDから提供する予定)。

米国や中国ではなく、アジアのプレーヤーにこそ勝機

──グローバル展開で注目する地域などはあるんでしょうか。

世界におけるブロックチェーンゲームのパワーバランスで注目している点はいくつかあります。

今中国は完全に動けません。人口もマーケットもあるんですが、(規制で)Web3の事業自体ができません。海外に出てやっている会社はありますが、表立っては動きづらい状況です。

また欧米では「Play to Earn」の概念が“ザ・ゲーマー”とも言えるコアなゲームファン層から批判されているので、大手ゲーム会社は二の足を踏んでいます。

(DeNAで)ガラケーから始めて、ブラウザゲームをやっていて、(スマートフォンの)アプリをやるとなった時、ブラウザの資産があるんでアプリの世界に行きづらかったんです。(ファンを抱えるゲーム会社も)同じようにブロックチェーンゲームをやるサンクコストがある。つまり守るべきものがある中での戦いになります。

自分たちのお客さんが「(ブロックチェーンゲームを)やってくれるな」と言っているうちは、挑戦できないところがあるんじゃないかと思っています。

「地政学的」とまで言えるかは分かりませんが、中国と米国がやりづらい中だからこそ、我々アジアのプレーヤーにはチャンスがあると思っています。

──グローバルに出るほどにコンプライアンスを守ることも求められると思います。そのあたりは大丈夫でしょうか。

それはもう、はい。

取材後、Thirdverseのコンプライアンス遵守に向けた取り組みについて確認したところ、代表取締役CEOの國光宏尚氏が以下のように回答した

VR/Web3事業でグローバル展開を強化していく中で、グローバルでのコンプライアンス意識の向上は今まで以上に重要であり、僕を含めて管理職以上は研修を受講しています。

例えば事業視点でいうと、ゲーム内のアバターの人種や見た目の選定にも気をつけないといけないと思っています。また社員が100人を超え、より多国籍になり、かつ若者も増えてきたということもあり、個の意識も改めていく必要があると感じています」(國光氏)

Thirdverse事業部長の守安功氏