よく「サイバーエージェント曽山さん(常務執行役員CHOの曽山哲人氏)のようなCHROが欲しい」「メルカリ(現:鹿島アントラーズFC)小泉さん(メルカリ取締役会長兼鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長の小泉文明氏)のようなCFOを採用したい」といった声を聞くことがあります。

はっきり言って、同じような人はほぼいません。「●●さんのような人」という考えを持つことは否定しませんが、まずは視野を広げることから始めましょう。

現実を知った上で取り組むべきは、とにかく「早いタイミングで声をかけること」です。どんなに優秀な人でも、どんなに可能性が低い人でも、声をかけなければ何も始まりません。声をかけたからといってすぐに採用できるわけではありませんが、まずCxOとして迎えたい人たちのキャリアの選択肢、もっと言えば自分たちの社名を覚えてもらうためにも声はかけておきたいです。

また声をかける上で大事なのが、大まかでもいいので役割を整理しておくことです。ここ最近で役割の整理や周知の仕方が見事だと感じたのは、delyのCTO・大竹雅登さんのnote「『クラシル』のCTO、譲ります。」ですね。

大竹さんは2017年にCTOをたたえるアワードである「CTO of the year」を受賞していることもあり、業界内では「dely=大竹CTOがいる会社」というイメージが定着しており一般的には「自分が入社しても出番はなさそう」と思われることもあるでしょう。例えば、経験豊富なリードエンジニアで「次のキャリアではCTOを目指したい」と思っている人のキャリアの選択肢からdelyが外れていた可能性もあるでしょう。

そこで大竹さんが「私は新規事業にコミットしたいので、CTOのポジションを誰かに渡したい」と発信したのです。そうすることで「delyのCTOポジションが空きます」という周知ができました。同時に、キャリアアップを考える社内メンバーに対しても良いメッセージになったという点でも、本件はグッドアクションだったように見えました。

CxO採用を成功へ導く4つの考え

もう少し噛み砕いて説明していきます。CxOを採用する上で大切な考え方は4つあります。

1つ目は、役員陣たちが「次のキーパーソンを採用し続ける」というマインドを強く持つことです。そのために人事担当者は「経営会議で採用の話をしていますか?」「トップハイヤリングのリストアップをしていますか?」と役員陣に声をかけていくことが求められます。