LayerXではCTOの松本(松本勇気氏)を中心に「18カ月後の組織を考える」とよく口にしています。直近の数カ月ではなく、1年半先を見据えて「この事業が売上◯◯円の規模に成長したら、こういうポジションの人が必要だよね」と、組織の成長に合わせて必要となるポジションをを検討していくのです。戦略上、社外にオープンにできないポジションであれば、エグゼクティブ層に強いエージェントに相談したり、ある程度具体的な候補者に目星がついているのであればSNS等で直接アプローチしたりしてもいいと思います。

2つ目は、「創業期と同じ熱量で採用する」ことです。例えば、創業のタイミングにCTOが採用したかったら、血眼になって探すと思います。組織が少し成長した今でも、その熱量で採用活動できているでしょうか? 当時と同じくらいの熱量がなければCxO候補の採用は難しいでしょう。

3つ目は、「あの人は来ないよね」という先入観で判断しないことです。実はこれが非常に大きいと思っています。特に人事担当は変に天井を設けず、いい意味で空気を読まずにどんどん採用したい人の名前を出していくべきです。また、社内のメンバーからそうした名前が出るように空気感を醸成することも必要でしょう。そうすることで、私はメルカリ時代に「あの人がまさか」という場面を何度も目の当たりにしてきました。

例えば、メルペイを立ち上げ、CEOを務められた青柳直樹さん(現在はメルカリグループ日本事業責任者)もそうです。2017年のタイミングで青柳さんがメルカリグループ(メルペイ)へ行くと思った人はどのくらいいたでしょうか(編集部注:青柳氏は2016年までグリーの取締役CFOなどを務めた)。どれだけ経験豊富な人であっても、声をかけられて嫌な気持ちになる人はいません。ですから、究極的には「え? なんで当社に来ないの?」というくらいの気持ちを持つことが大切です。熱心なアプローチはいつか届くという信念を持ちましょう。

4つ目は、3つ目と重複する部分もあるかもしれませんが、しつこさです。例えば時間はかかっても、何人もの役員に会ってもらう。よく人事担当者は「役員に動いてもらうなんて申し訳ない」と言いますが、遠慮する必要は一切ありません。当たり前ですが、事業の解像度が高く、事業の未来を語ることができる役員陣は採用する上で大きな武器になります。

長い時間をかけてでも惜しみなく社内の武器を出し続けることは効果的ですし、かなりの差別化につながると思います。経営陣の中で採用のプライオリティを上げることにもつながります。