また、選考に進んだ末に辞退されたとしても「これで終わりではないので数年後にまた連絡します」や「次はぜひ当社でお願いします」と声をかけておくのも良いでしょう。実際、数年後に「あのときの約束です」とメッセージすると、再度検討していただけることがあります。

たとえば新しい役割を用意してみる

経験豊富な人たちを迎え入れる上で有効な方法のひとつが、新しい役割を定義していくことです。スタートアップの人事担当者から「◯◯さんを採用したいんですが、うちより何倍ものサイズの会社でCTOをやっていて。『ぜひCTOとして!』と口説いても物足りないと思われませんか?」と相談を受けることがあります。

単純に「CTOが必要だから他の会社のCTOを迎え入れる」のではなく、COOやCMOといった新しいポストを用意する事を考えたいです。人間は新しい役割にはワクワクするものなので、テクノロジーに強いCOOやCMOがいても面白いと思います。

私自身、前職では明確に人事の役割だったので、LayerXへ入社するにあたって「広報の役割も担ってほしい」と言われたときは純粋にワクワクしました。新しい役割を定義・提案することで、採用したい人のチャレンジ精神を引き出すのは非常に面白いと思います。

ただ、人には当然ですが向き、不向きがあります。いくら採用できたとしても会社とのマッチングは別物。お互いのフィット感を確認するために「一定期間を一緒に働く」か「リファレンスチェックを活用する」など、双方が確認できるような機会を選択肢として持っておきたいです。

リファラルであれば「あの人はよく知っているから大丈夫」と安易に捉えてしまいがちですが、重い役割を任せるからこそ「2人ほど過去に一緒に働いた方で個別インタビューさせてもらえませんか?」と提案するのです。

快諾してもらえたら信用度が上がるし、逆に「え? 私だよ!? 大丈夫だよ」と言ってきたら考え直したほうがいいかもしれません。入社したら、それ以上に耳の痛いフィードバックをし合うわけですから、腹の底を探り合うのではなく本音でぶつかり合える関係を築けることが、今の時代にあっていると思います。

冒頭の話に戻りますが、この業界には肩書きだけが立派な人もいます。やけに肩書きにこだわる人もいるかも知れませんが、大前提である「一緒に働きたいと思えるか」「少しでも違和感があれば率直に話し合える関係か」などを大切にすることで本来の目的を見失わないようにしたいですね。