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グローバルでヒットしている、YG ENTERTAINMENT発の女性アイドルグループPhoto: Kevin Mazur / gettyimages 

日本のコンテンツ産業、グローバルで躍進のカギは「ウェブトゥーン」

韓国政府がコンテンツ産業の振興に力を注ぎ、産業自体も大きく成長しているところに、YouTubeやNetflix、Spotifyなどのプラットフォームが台頭してきました。こうしたプラットフォームの登場も海外に韓国コンテンツを輸出する、という側面においては大きな役割を担ったと思います。

例えば韓国ドラマであればNetflixが保有するデータをもとに勝ちパターンを見いだし、キャストやストーリーなど一定の再現性をもたせることでヒットを量産しています。2021年に配信され、世界90カ国で視聴ランキング1位を獲得した『イカゲーム』が良い例でしょう。日本でも人気を博している “デスゲーム(登場人物が死を伴う危険なゲームに巻き込まれる様相を描く作品のジャンル)”のフォーマットをもとに、そこにうまく社会問題も絡めた点も大きかったと思います。その前年には(Netflix発の作品ではないですが)、韓国の格差社会をテーマにした『パラサイト 半地下の家族』が米アカデミー賞を受賞しています。

コンテンツ産業に憧れを持つ人が増え、コンテンツのつくり手も増えた──それに加えて、IT企業も「エンタメ領域は稼げる」ということで、コンテンツ産業に参入してきました。カカオエンターテインメントやネイバーなどがそうです。そんなIT企業を中心に、近年大きな盛り上がりを見せている分野のひとつが「ウェブトゥーン」です。

従来型のコミックが展開する国や地域によって右開き、左開きなど一定のローカライズが必要だったのに対して、ウェブトゥーンは縦スクロール型でフルカラー、スマートフォンでの閲覧に適した新しいスタイルのデジタルコミックの総称です。

2003年ごろから、カカオエンターテインメントやネイバーがサービスを開始していますが、スマートフォンの普及などに伴い、翻訳さえすれば、国や地域の壁を超えて統一された縦スクロール型という同一フォーマットで世界中に配信しやすくなったことも追い風となり、ここ数年で注目を集めるようになりました。2028年までに約3兆5330億円の巨大市場に成長すると言われています。

私はこのウェブトゥーンに、日本のエンタメ業界の躍進の可能性があると思っています。日本のエンタメ業界はアニメ、漫画、コンソールゲーム、ソーシャルゲームなどの分野では世界のなかで競争力を持っていることもあり、オリジナルIPを育ててクロスメディア、国や地域を超えてクロスボーダーでビジネスを展開していくことに長けています。今後、コンテンツ産業ではクリエイターやアーティストもそうですが、IP(知的財産)を押さえに行く動きがますます強くなっていくはずです。NetflixやDisney+などの動画配信サービスでヒットしている韓国ドラマの原作はウェブトゥーンのものが増えてきている。例えば、日本ではリメイクが作られるほどの人気を集めた『梨泰院クラス』のほかにも『Sweet Home ー俺と世界の絶望ー』などはウェブトゥーンが原作です。