「私は、“いち資源あたりの生産性”という概念を広げていきたいと考えています。例えば数年間愛用して、何百日もの“濡れない体験”を創出してくれた傘も、1回しか使わなかったビニール傘も、資源量はほぼ同じです。それならば、資源量あたりの生産性が何百倍になるほうがいいし、企業側にしても原価率が小さくなります。傘だけではなく、オフィス内のあらゆる備品も、リユースで何年も使えるようになるはず。シェアリングにつながる新しいビジネスがもっと生まれればいいなと思っています」(丸川)

シェアリングエコノミー協会は2022年末、アイカサを含むシェアサービス10社と連携して「グリーンフライデー」プロジェクトを行った。

シェアリングエコノミー協会では、2022年末に、アイカサを含むシェアサービス10社と連携して、「グリーンフライデー」プロジェクトを行った。大量消費を促す大型セール「ブラックフライデー(11月第4金曜日)」に対抗して、欧米を中心に広がるサステナブルな消費を啓発。こうした、ものを大切に長く使おうと発信する取り組みを、これからも続けていきたいと石山氏はいう。

「カーボンニュートラル実現のスピードを加速していくために、業界が一体となって連携していかなければいけません。シェアリングエコノミーがサステナブルな選択肢として選ばれていく仕掛けを、丸川さんとももっともっと増やしていきたいです」(石山)

丸川照司(まるかわ・しょうじ)◎株式会社Nature Innovation Group代表取締役。シンガポールなど東南アジアで育ち中国語と英語を話せるトリリンガル。18歳の時にソーシャルビジネスに興味を持ち、社会のためになるビジネスをしたいと社会起業家を志す。その後マレーシアの大学へ留学中に世界のシェア経済に魅了され、大学を中退。2018年に傘のシェアリングサービス「アイカサ」をスタート。

石山アンジュ(いしやま・あんじゅ)◎一般社団法人シェアリングエコノミー協会 代表理事/一般社団法人Public Meets Innovation 代表理事。「シェア(共有)」の概念に親しみながら育ち、シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。2018年10月ミレニアル世代のシンクタンク一般社団法人Public Meets Innovationを設立。 新しい家族の形「拡張家族」を掲げるコミュニティ、一般社団法人Cift代表理事。世界経済フォーラム Global Future Council Japan メンバー。USEN-NEXT HOLDINGS 社外取締役。デジタル庁シェアリングエコノミー伝道師。