しかし、MHRiseよりも前に発売されたモンハンシリーズは、PSP版『モンスターハンターポータブル 3rd』が490万本、ニンテンドー3DS版『モンスターハンターダブルクロス』が450万本というように、500万本の壁を超えられずにいた。
これは、家庭用ゲーム機やゲームソフトの売上データを予想・発表しているVGChartzの発表を見ると、その答えが見えてくる。モンスターハンターポータブル 3rdの売上本数は日本国内の販売数と、世界合計の数値がほぼ同じ。つまり、販売数のほぼすべてが日本国内での販売数であり、海外市場ではほとんど受け入れられなかったことを示している。
その後にニンテンドー3DSで発売された『モンスターハンター4』も、世界410万本のうち日本国内向けは359万1334本(『週刊ファミ通』2018年2月8日増刊号調べ)と、9割近くが日本国内での販売本数だ。
このようにモンハンシリーズは、日本国内では大成功しながらも、海外でのセールスが伸び悩んでいるという状況が続いていた。カプコンはこの状況を打破するために海外ゲーマーの趣向を徹底調査。遊べるハードウェアも国ごとの状況に合わせ、PlayStation 4のほかXbox OneやPC(Steam)でも発売。言語設定も日本語と英語はもちろん、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語という6カ国語ぶんの音声を収録するなど、世界をターゲットにしたMHWを世に送り出し、カプコンソフトの過去最多販売数を達成したのである。
「買い切り」と「基本無料」、ゲーム作りの差
しかしゲームソフトの市場は、家庭用ゲーム機やPC向けのほかに、モバイル機器向けのアプリという大きな市場がある。
「グローバルマーケットリポート2022」(角川アスキー総合研究所)によると、すでにゲーム収益の50%はモバイルゲームが占めている。残りの50%を家庭用ゲーム28%、PCゲーム22%で分け合っている状態だ。
当然、カプコンも自社の強力なIPであるモンハンでスマートフォン用アプリへ挑戦したことは何度もある。2011年6月1日にスマホアプリ『モンスターハンター Dynamic Hunting』を800円の買い切りで発売したことを皮切りに、2012年には基本無料の課金型アプリ『みんなと モンハン カードマスター』をリリース。次いで2013年には『モンスターハンター マッシヴハンティング』と『モンハン商店 アイルーでバザール』、『モンハン大狩猟クエスト』という3タイトル。2014年にも『モンスターハンター ロア オブ カード』と『モンスターハンター メゼポルタ開拓記』、2015年には『モンスターハンター エクスプロア』といった、基本無料の課金型モンハンタイトルを次々とリリースした。