Photo:SOPA Images/gettyimages
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プラットフォーム自体の改善に伴い、Instagramでのインフルエンサーマーケティングも年々、規模を拡大している。デジタルインファクトの調査によれば、2025年のインフルエンサーマーケティング全体の市場規模は723億円になる見通しであり、Instagramも昨年の85億円から、2025年には185億円にまでのぼることが予測されている。

現在も拡大の一途をたどるインフルエンサーマーケティングだが、一方で早くも案件の飽和が起き始めているようだ。今、インフルエンサーは自身の元へやってくる数多くの案件依頼の中から、受ける案件を自由に選べるようになってきている。

FinTでは業務としてインフルエンサーにマーケティングの依頼も行っている。そのやりとりを通して見えてきたのは、インフルエンサー側の目線が厳しくなってきたということだ。クライアント企業の選定も、PR投稿の条件設定もますます厳しくなっているのだ。特定の企業以外のDMをブロックし、取引先の固定化を思わせるような対応が見られたり、他社案件との親和性を考慮したりして、1週間に1回のみPR投稿を実施するインフルエンサーも最近はよく目にする。

企業主導からインフルエンサー主導へ

ここから見えてくるのは、すでにインフルエンサーマーケティングでは企業主導ではなく、インフルエンサー主導になっているということだ。

少し前までは企業側が一方的かつ絶対的な条件を提示し、インフルエンサーがそれを飲み込むスタイルだったのが、現在はインフルエンサーがより自由度の高い案件を選ぶ立場にある。

インフルエンサー側も、自分が育ててきたアカウントのフォロワーに対する誠実さを重視している。FinTでも自社で運用してきた女性向けメディア「Sucle(シュクレ)」があるが、フォロワーに対する誠実な対応は大切にしてきた。いちアカウントの運用者としても、この構図こそ本来のインフルエンサーマーケティングの真の姿だと考える。

企業側は、インフルエンサーの「自らの世界観にあう商材を、自己の裁量によって本当にいいと思ったものだけを紹介していくスタイル」を尊重するように依頼しなければ、良い関係性を築くことは難しいだろう。

さらに、近年のステマ(ステルスマーケティング)をはじめとした悪質なPR投稿も増加しており、インフルエンサーのフォロワーたちがPR投稿を見る目も厳しくなってきている。フォロワーもインフルエンサーマーケティングになじみ深くなってきたことで、投稿自体が本物かどうかを細かくチェックされる風潮ができ上がりつつある。