競合他社が対面での審査を続ける中でUber Eats Japanが登録プロセスをオンラインに移行し、就労可能資格の原本を確認しなくなったことが不法就労の原因となったのではないか。匿名を条件に取材に応じたある業界関係者は「事業拡大を優先しようとすると、登録プロセスの徹底がおろそかになってしまうのではないか。就労可能資格の原本を確認しないのであれば、それは『不法就労のリスクに興味関心が全くない』と言っても過言ではない、ずさんな仕組み」と批判する。

“テンプレ”でしか回答しないUber Eatsの不誠実さ

なぜ今回の事態が起こったのか。今後はどのようにサービスを改善していくのか。Uber Eats Japanに質問を送ったが、同社からの回答は「Uberはプラットフォームのいかなる不正利用も大変深刻に受け止めており、 配達パートナーの登録手続きを強化すべく、措置を講じてまいりました。 本件捜査に関し、捜査機関に全面的に協力しております」という内容のみだった。

すでに他メディアでもUber Eats Japanからの回答としてほぼ同様の文章が掲載されている、いわば“テンプレ(テンプレート・定型文)”のみの内容だ。

そこで、名義貸し行為への対策や、オンライン登録と不法就労の関連性、ユーザーからのクレームの状況などについて追加で質問を送ったが、Uber Eats Japanは「本件に関する回答は先ほどの内容とさせていただきます」として回答を拒んだ。

本件について問い合わせた出入国在留管理庁の担当者は「宅配サービスであろうが、ほかの業種であろうが、どんな業種でも法律は必ず守っていただく必要がある」と語った。

外国人による不法就労の背景にはさまざまな理由が考えられる。筆者も以前は英字新聞の記者として、日本に住む外国人が直面する多くの問題に向き合ってきた。だが、いかなる事情があろうとも、事業者は法令遵守を徹底しなければならない。コロナ禍の下で成長を続け、社会インフラとしての責任が増したデリバリーサービスの雄には、その運営姿勢のあり方が問われる時期が来ている。