「もちろん難しい市場だというのは理解しています。ですが、これもお客さまの声に応えるためにです。CRAFT Xの顧客にアンケートを行ったところ、約4割の人が『週に1回以上レモンサワーを飲んでいる』という結果が出たんです。お客さまに喜んでいただくためには、ビール以外のラインナップが必要不可欠だと判断し、レモンサワーの開発に挑戦しました」(長谷川氏)

人工甘味料や香料、酸味料といった添加物を使わず、フルーツ果汁とハーブだけで仕上げたレモンサワー「PULEMO」
人工甘味料や香料、酸味料といった添加物を使わず、フルーツ果汁とハーブだけで仕上げたレモンサワー「PULEMO」

PULEMOは人工甘味料や香料、酸味料といった添加物を使わず、フルーツ果汁とハーブだけで仕上げたレモンサワー。CRAFT Xの顧客の声を聞くと、軽い味わいで甘さが控えめなレモンサワーをよく飲んでいることが分かった。そこで“アルコール入りフルーツウォーター“とも言われ、欧米など海外で支持を集める「ハードセルツァー」をヒントにした、低糖質・低カロリー・低アルコールのレモンサワーを提供する。

このプロジェクトは533人から総額403万3010円の支援を集める結果で目標を達成した。この成功を転機にして、CRAFT Xは総合アルコールブランドへとリニューアルし、「あなたが華やぐ、お酒の体験」をテーマに、デザインやブランド体験を一新している。その第1弾として、フラッグシップ商品であるクリスタルIPAもリニューアルに併せて、「No.003」へとアップデート。「No.002」よりも華やかな香りと柑橘のニュアンスを高めたビールに仕上げている。

「No.002」よりも華やかな香りと柑橘のニュアンスを高めたビールに仕上がっている「No.003」のクリスタルIPA
「No.002」よりも華やかな香りと柑橘のニュアンスを高めたビールに仕上がっている「No.003」のクリスタルIPA

今後は、レモンサワー「PULEMO(ピュレモ)」を支援者のもとへと届けるほか、7⽉末には正式に販売を開始する予定だという。また、味わいの秘訣や⽣産者の思いなどが楽しめるコンテンツを発信していくなど、総合アルコールブランドとして顧客からの声を製品開発だけでなく、コンテンツ開発にも生かしていく。

MOON−Xが発射台となり、隠れた才能を世に放つ

CRAFT Xの運営元であるMOON−Xは、クラフトビールブランド以外にも、男性用スキンケアブランド「SKIN X」や女性用スキンケアブランド「BITOKA」を展開している。今後も顧客の声やをもとに、新たなブランドを立ち上げていく予定だという。

ブランドを立ち上げ、育てることを同時並行で進めるのは、決して簡単なことではない。なぜMOON−Xは、このチャレンジを推進できるのだろうか。

「もちろん大変なことですが、3つのブランドから顧客の声を集めると、消費者との接点が多面的になり、よりブランドの輪郭がはっきりしていきます。実は単体でブランドを育てるよりも、実りが大きいんです。結果的にブランドも、携わる人も、成長が早くなると考えています」(長谷川氏)