「(競合と比較して)資本力がありません。今後、数百億円規模の調達をするという選択肢もありますが、そうした場合、市場で必ずいいポジションにいないと許されません。もしそうだとしても厳しい戦いになるというマーケットの事情があり、このタイミングでのピボットを決意しました」

「この意思決定は、『莫大な集客量を獲得するチャレンジを諦めた』という言い方もできると思います。200〜300億円を投資しなければ今意味のある規模感の集客ができない。200~300億円を誰が負担するのかというと、結局、飲食店やユーザーの手数料に跳ね返ってしまう。それは本質的ではない、という考え方です」(Chompy代表取締役の大見周平氏)

上場企業のぐるなびでさえ、外部資本頼りでフードデリバリーサービスを新規で立ち上げる。同社は8月25日、楽天グループならびにSHIFTとの資本業務提携、そして第三者割当増資による約33億円の資金調達を実施した。

ぐるなびはこれまでも楽天から事業承継した「楽天ぐるなびデリバリー」を展開してきたが、同サービスは自社で配送機能を持つ、デリバリーを専業とする事業者向けのマーケットプレイス。そのため調達した資金をもとに、配送機能を持たない加盟店のデリバリーを支援するサードパーティー型のマーケットプレイスサービスを構築するという。

新事業では飲食店向けのアプリを開発

Chompyの新事業は、中小規模の飲食店むけに専用アプリを開発するというもの。アプリで事前に注文・決済を行うモバイルオーダー機能を実装し、イートイン、テイクアウト、デリバリーといった注文方式に対応する。クーポン、スタンプ、お知らせ配信といった販促機能、集計・分析機能を用意し、サブスクリプション機能を追加する予定だ。今後はアプリだけでなくウェブサービスにも対応していくという。

利用料金は初期費用と月額固定費は無料で、注文方法に応じた取引手数料(決済手数料込み)を取る。手数料率はイートインでは(税込の商品総額の)4パーセント、テイクアウトでは6パーセント、デリバリーでは16〜26パーセントとなっている。

フードデリバリーサービスのChompyではユーザーが注文した商品をオンラインで単発で業務を請け負うギグワーカーの配達員が届けるが、その配達網は新事業でも活用される。飲食店の場所がChompyの提供エリア内(東京都渋谷区・目黒区・新宿区・豊島区・千代田区・中央区・港区の全域、世田谷区・品川区・中野区・杉並区・文京区の一部のエリア)の場合、配達員によるデリバリーが可能だ。