どれだけ拠点の数を増やしていっても、入居者の数を増やし、スペースの稼働率を保つことができなければ、最終的に経営が立ち行かなくなってしまう。

ユー氏がCEOに就任してから、まず行ったのが社員の「意識改革」だった。

「今までのWeWorkは、楽しそう、高級そう、カッコ良さそうという雰囲気を売っていただけなんですよね。WeWorkショック、コロナ禍による働き方の変化を経て、ようやく謙虚な気持ちになれました。真剣にビジネスとしてやっていくには、どうすればいいか。WeWork Japanの社員の平均年齢が30歳ほどでビジネスの経験も少なく、今までは元気の良さだけで突っ走ってきた部分もあります」

「ただ、これからは営業戦略を立てて、メンバーのニーズをきちんと理解することに努めよう、と社員に伝えました。日本のお客様は良いクオリティのものは徹底的に応援してくれる人たちなので、本当に良いサービス、誰にも負けないスペースを提供するようにしましょう、と」(ユー氏)

各社のオフィスニーズに対して、柔軟に対応するプランに

コロナ禍でリモートワークが普及し、オフィスが果たす役割が変化。出社とリモートワークを組み合わせ、必要なときだけ出社する「ハイブリッド勤務」が主流になりつつある時代において、WeWorkに求められる価値は何か。そこを考えた結果、行き着いた答えが「ユーザーのニーズにフレキシビリティのあるプランで応える」ということだった。

「今までは使うかどうか関係なく、1人の社員に対して1つのデスクを用意していました。ただ、出社とリモートワークがハイブリッドに組み合わさる時代において、全員分のデスクを用意しておく必要はありません。例えば、100人の社員に対して10個のデスクだけ用意し、あとは全国のWeWorkを利用できるAll Accessを契約するといった方法もあるでしょう。今はお客様のさまざまなニーズに応えるプラン設計をしており、プランの内容もお客様ごとにカスタマイズも可能となっています」(ユー氏)

現在のWeWorkは1名あたり月額4万2900円(税込)で国内のWeWorkが使い放題となるAll Access以外、料金体系は明らかにしていない。

ちなみに、プランとしては個室のレンタルオフィスを利用する「Private Office」、個室のレンタルオフィスを、席数以上の人数で利用する「Private Access (Plus)」、コワーキングスペースを利用する「Hot Desk」、1拠点で固定席を持つ「Dedicated Desk」がある。