解約率の実数は非公開ながら、ユー氏によれば「今も多少の解約はあるものの回復傾向にあり、それ以上にアップセルが増えている」という。

「今まで、WeWorkは企業の“支社”的に使われていたのですが、今は本社の面積を減らしつつ、WeWorkの面積を増やすという流れが増えてきています。それができるのは大規模なワークスペースを運営しているWeWorkならではの強みです」

「ハイブリッド勤務が主流になった今、WeWorkが真価を発揮できるようになったのかなと思います。そういう意味ではようやくプロダクトとサービスで勝負していける、普通のビジネスを展開できるようになったのかなと思います」(ユー氏)

すべての提供画像:WeWork Japan
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実際、今年の6月に「WeWork オーシャンゲートみなとみらい」に入居したクックパッドの広報担当はつぎのように語る。

「オフィスに集まってサービス開発をするメリットを最大限に引き出す設計が迅速に実現できる点、他の拠点や共用部設備の利用など拡張性の高い働き方を実現できる仕組みが整っている点がWeWorkの魅力でした」(クックパッド広報担当)

WeWork側がディスカウントして、費用が安くなっている側面もあるだろう。実際、料金がディスカウントされたことでWeWorkに入居したスタートアップもいる。

「料金は固定オフィスでは実現できない要素がさまざまあるので比較しづらいのが正直なところです。ただ、費用対効果の面で考えるのであれば、WeWorkならではの仕組みを有効活用すればするほど良くなるんだと思います」(クックパッド広報担当)

サブリースによる新規拠点の開設はストップ、稼働率を高める

また今後の戦略について、ユー氏は「いたずらに拠点を増やしたら、クビを切られちゃいますよ」と笑いながら、「まずは稼働率を高めることに注力したい」と語った。サブリースによる新規拠点の開設はストップし、現在の拠点の稼働率を7〜8割まで戻す。

「とはいえ、国内拠点のネットワークが完璧だとも思っていません。まだWeWorkがないエリアも存在します。私たちは“アセットライトモデル”と呼んでいるのですが、自分たちが賃貸するのではなく、運営のみを受託する方法も来年の早々に展開していきたいです。また、最近はワーケーション需要も高まっており、軽井沢や箱根、鎌倉にも拠点があったらいいなと思っています。そのエリアは大きいビルがないので、現地の企業とパートナーシップを組んで、拠点を増やしていくことも検討しています」(ユー氏)