遠隔で更年期の症状を診断する「Gennev」

Gennevの公式サイトより
Gennevの公式サイトより

次に紹介するのは、更年期障害のケアを専門とする施術者とのビデオ診療を提供するGennevだ。パンデミックによって、遠隔医療が拡大しているが、この流れはメノテック市場にも広がっている。

Gennevは米国23州で展開されており、医師との面談は30分85ドル(約9600円)。他にも運動や栄養面のコーチングが受けられる45ドル(約5100円)の30分間のセッションも提供されている。同社はMicrosoftとスキンケア製品販売のNeutrogenaの元幹部によって、2015年に設立されている。

更年期障害を専門とする医師は不足しており、実際に患者が医療機関を訪れても、適切な治療につなげることができていない。例えば、医師の5人のうち4人は、更年期障害を適切に診断し、対処するトレーニングを受けていない、というデータもある。だからこそ、Gennevのような、気軽に専門家の意見が聞けるプラットフォームには意義がある。Gennevのユーザーで、一番多い感想が、“私は普通だったんだ”という安堵感だ。

ホルモンの関係で、無駄にイライラしたり、プレゼンの前にホットフラッシュを経験したり、不眠に悩まされたりする。これまで正体不明の不調として対処できていなかった症状に、Gennevの看護師や医師と話すことで名前が付けられ、安心する。そして原因がわかれば、対処することもできる。

同社は、更年期女性が働きやすい職場環境を作る啓蒙活動も行っている。調査対象となった女性の45%が、更年期症状のために病気休暇を取らなければならなかったことがあると回答している。キャリアを積んだ彼女たちが働きやすい環境を作れば、企業も恩恵を受けられる。

ほてりの緩和やストレス管理、睡眠の改善に役立つウェアラブルデバイス「Embr Labs」

Embr Labsの公式サイトより
Embr Labsの公式サイトより

Embr Labsは更年期向けのウェアラブルデバイスだ。現在、北米のみでの販売にもかかわらず、170カ国以上で7万人以上の顧客を抱えているという。Embr Labsは腕に着けるデバイスから脳に信号を送ることで、ホットフラッシュを落ち着かせることができる。また、睡眠導入も可能だ。

同社は、2013年にMITの材料科学エンジニア3名によって設立された。Johnson & Johnsonイノベーションとも共同研究を行っている。

このデバイスは手首の内側の温度に敏感な皮膚に冷感や温感の「波」を展開。実際に装着すると熱受容体と呼ばれる神経終末によって、この波が検知される。この信号により、脳は自然に温熱感覚を処理してバランスを取り戻し、自律神経系を刺激することで、ほてりの緩和やストレス管理、睡眠の改善に役立つという。