老後資金には2千万円必要? 年金はいくらもらえる? お葬式は、お墓はどうする? つい先送りしたくなる宿題に早めに取り組むことで、人生後半戦を安心して楽しみたい。AERA 2023年12月18日号より。
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人って結局、いつ死ぬかは誰にもわからない──。
東京都で教員として働く47歳の女性は、最近こんなことをよく思う。夫と中学2年生、小学6年生の子どもと4人暮らし。自己免疫疾患があり心疾患リスクが高いことに加え、脳梗塞で病床に伏す高齢の父親を見ていると、体質が似ていると指摘されたこともある自身の健康への心配も募る毎日だという。
「若くても事故にあって死ぬ人もいる。残された周囲の人たちのためにやっておくべきことがあるんじゃないか。50歳を前に強く思うようになりました」
気になり始めたのが、「終活」だ。
職場に迷惑をかけないよう、上司の連絡先をまとめる。死亡の連絡はフェイスブックに書き込んでもらうか、自分のアドレスで一斉メールしてもらおうか。そんなことをぼんやりと考え始めたところだ。
「終活」は何歳から?
「延命治療は嫌だという希望は書き残しておかなきゃと思っているし、老いたら子どもに迷惑をかけないよう体が動く間に介護付きマンションに移ろうかと夫と話したりしています」
50歳という節目を前に、本格的ではないけど「終活の一歩手前かな」と女性は話す。
2012年の「新語・流行語大賞」でトップ10に選ばれて約10年。一般的には、自分が年老いて病気になったり死んだりした後のために備える、というイメージが強い終活。何歳ごろから意識するものなのだろうか。
日本総合研究所が厚生労働省の補助を受けて今年1月、東京都稲城市と神奈川県横須賀市の50歳以上85歳未満の7千人を対象に行い約2500人から回答を得た「終活」に関するアンケートがある。
「自分の病気や要介護、死亡時に、周囲の人が手続きできるよう備えたいか」という質問に対しては、「そう思う」が65.9%、「ややそう思う」が24.7%と、備えたいと考えている人が9割を超えた。一方「備える場合に難しい点」を聞いた質問では「もう少し先でいいと思う」を選んだ人が44.1%で最多。内訳を年齢別でみると、54歳以下で47.2%、55~59歳は56.7%。80歳以上でもまだ33.6%が「もう少し先でいい」と考えているという結果だった。