鞍立氏は最初、「いやいや、うちみたいな小さな会社では無理」とあまり現実的に考えていなかった。だが、中山氏の「試してみなければわからない」という一言に背中を押され、ダメ元で連絡を入れてみることにした。Instagramやホームページから連絡をしてみたものの、返事はなかった。

ビリー隊長へのプレゼンは日本のファミレスで

 鞍立氏がブランクス氏と出会ったのは、2019年の5月。ロサンゼルスで開催された世界最大級のフィットネスイベントでのことだ。LEAN BODYのコンテンツやビジネスモデルは海外のサービスを参考にしているため、調査も兼ねて仲の良いインストラクターと共に現地を訪れていた。

 イベントには偶然にもブランクス氏が出演していた。何回か目の前を往復。意を決して話かけたところ、話は盛り上がった。「実はオンラインフィットネスを日本で立ち上げていて、オファーメールを送ったんだ」と伝えると、「面白い。そのアドレスは普段チェックしていないから」と連絡先を教えてくれた。

 翌月にはブランクス氏が日本を訪れていたため、レッスンを受けに行った。レッスン後にファミリーレストランでプレゼンテーションを行い、LEAN BODYはかつてのビリーズブートキャンプを目指して立ち上げたサービスだと伝えた。

 鞍立氏が言うには、日本人と結婚しているブランクス氏には、「日本で新たに何かをしたい」という気持ちがあった。そこで「新しく始めたサービスがある。(ビリーズブートキャンプを)アップデートしたい」と提案したところ、興味を持ってもらえたという。

 鞍立氏は「今、日本でダンスフィットネスプログラムが人気だ」とブランクス氏に話したところ、「なぜこれが流行るんだ?」と聞かれ、「楽しく痩せられるのが大切だ」と回答をしたことを良く覚えているという。日本におけるフィットネスの最新トレンドを理解することで、ブランクス氏の信頼を勝ち得たのだ。

最新トレンドを意識した「令和版ビリーズブートキャンプ」

 令和版ビリーズブートキャンプの撮影は2020年1月15日、16日の2日間、東京・六本木で行われた。エクササイズの具体的な内容は“天才肌”であるブランクス氏がその場で考えた。だが、コンテンツをアップデートする上で、LEAN BODYでは現代の日本人のニーズに合うようさまざまな提案をしたという。

「過去のビリーズブートキャンプの良さに、LEAN BODYが持つデータを掛け合わせ、『どうすれば日本人にとって最適になるのか』を分析した。具体的には、ビリーさんの脂肪燃焼を軸にした“動き続ける”エクササイズを活かした上で、令和版では分数や強度を調整した」(鞍立氏)