同じく2017年6月、LEAN BODYは分散化型のダイエット動画メディア「Lifmo(リフモ)」をリリースした。フィットネスを通じて心と身体を健康にできることから、「フィットネス人口を増やしていきたい」という思いでメディアを運営していた。だが、SNSに動画を投稿する形式では、ユーザーは定着しなかった。そのため、サブスクリプション型のビジネスモデルに切り替え、ユーザーを囲い、利用頻度の向上を目指した。

 LEAN BODYを開発する上で参考にしたコンテンツやサービスは、ビリーズブートキャンプ以外にも多い。自宅エクササイズのPelotonを含む、海外で急成長しているフィットネスサービスが持つ良さは積極的に取り入れた。コンテンツは「ノウハウ」を提供するのではなく、「一緒にレッスンを行う」ものにこだわっている。中山氏は「総合フィットネスジムが提供するスタジオレッスンを自宅で行えるサービスにしたかった」と話す。

 しかし、ただ動画が見られるだけではYouTubeと変わりない。そのため、ウェブまたはアプリから利用できるLEAN BODYでは、ユーザーのエクササイズが習慣になるよう、工夫を凝らした。「診断テスト」でフィットネスプランをパーソナライズ。レッスンを終えると「バッジ」を獲得できるゲーミフィケーション要素も取り入れた。そして、レッスン数・ワークアウト時間・消費カロリーを「見える化する」ことで、ユーザーのモチベーションを維持しようと試みている。

 LEAN BODYでは配信動画を自社制作している。令和版ビリーズブートキャンプ以外にも、著名インストラクターによる400以上のレッスンを配信する。ユーザーへのアンケートと並行し、何が観られているか、最後まで観てもらえているかなどのデータを分析することで、コンテンツを最適化している。

次のステップは「オンラインとオフラインの融合」

 中山氏の説明によると、日本におけるフィットネスの市場規模は4400億円。既存のジムには440万人ほどが通っている。今後、LEAN BODYでは、オンラインとオフラインの融合を目指し、リアルな場を持つ企業と手を組むことで、市場での存在感を高めていく方針だ。

「リアルな体験では、器具が揃っていたり、インストラクターから生でレッスンは受けられる。オンラインの良さは、いつでも気軽にレッスンが行えること。組み合わせることで、習慣化につながる。そのため、オンラインとオフラインの会社が協業することが重要だ。海外でも成功事例はある」(中山氏)