理系→アクセンチュア→司法試験1位合格!異色弁護士が斬る「ロースクールの存在意義」伊藤雅浩弁護士(2023年10月、弁護士ドットコムニュース撮影)
*本記事は弁護士ドットコムニュースからの転載です。

 2004年に開校したロースクール(法科大学院)は今年度で開校20年目となる。最大74校あった数は半減した一方、抜け道だったはずの「予備試験」受験者数が増え続けるという逆転現象が起きている。合格率も予備試験組が圧倒的に高く、ロースクールの存在価値を疑問視する声もあるが、開校当初に学んだ弁護士は、現状をどう見ているのか。

 ソフトウェア知財・法務が専門でSNSでの発信も活発な伊藤雅浩弁護士は、法学未修者1期生だ。民間会社から一橋大ローに進学し、総合1位で司法試験を突破した。社会人経験者が少なくなったとの実感があるといい、現在の法曹界は多様な人材どころか「むしろ一様になった」と危機感を示す。(編集部・若柳拓志)

司法試験受験は「1回だけ」と決めていた

 伊藤弁護士が入学したのは、ロースクール開校初年度の2004年だった。当時32歳。大学院の工学研究科を修了後、コンサルティング企業でシステム開発などの仕事をしていたが、業務上のトラブルで弁護士と関わったことをきっかけに、自身も法曹界に飛び込んでみようと思った。

 伊藤弁護士は、ロースクール入学前に飛び交っていた売り文句「司法試験の合格率70~80%」を「私も一瞬信じましたが、すぐにありえない数値だとわかりました」と振り返る。

 入学時はすでに結婚しており、幼い子どもがいた。家のローンもあった。売り文句ほどの合格率ではないとしても、司法試験受験は「1回だけ」と決めていた。