序列激変#14Photo:Sam Edwards/gettyimages

今も昔も、五大法律事務所は企業法務の道を志す弁護士にとって垂ぜんの的。しかし、最近では五大から独立して、企業法務を担う新たな事務所が誕生し、若手弁護士から注目されている。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の#14では、弁護士の転職市場について、弁護士であり人材紹介業も営む西田章氏に解説してもらった。(西田法律事務所・西田法務研究所代表、弁護士 西田 章)

2000年に国内初の大規模事務所が誕生
21世紀に起きた弁護士「転職市場」の激変

 日本で弁護士数100人を超えるローファームが誕生したのは、長島・大野法律事務所と常松・簗瀬・関根法律事務所が合併した2000年1月のことである。

 当時、弁護士は「一国一城のあるじ」を夢見る独立心の強い者が目指す職業であると理解されていた。そのため、日本初の大規模事務所は、「そんなに大勢の弁護士が一つの組織でうまくやっていけるはずがない」という懐疑的な視線を向けられた。

 しかし企業のリーガルニーズの高度化とスピード化は、さらなる事務所の大規模化を促し、現在は、五つのローファーム(西村あさひ、アンダーソン・毛利・友常、森・濱田松本、長島・大野・常松、TMI総合の各法律事務所)が500人以上の弁護士を抱え、日本経済を法律面から支えている。

 この20年間の若者のキャリア観の変遷も踏まえて、弁護士業界に起きた出来事と、弁護士「転職市場」における変化を、三つの時代に区切って振り返ってみたい。