1980年代後半、日本の大口投資家は米国の商業用不動産市場に押し寄せた。当時はニューヨークのロックフェラーセンターのような不動産を相次ぎ購入して注目を集めたが、程なくして市場は大幅な調整局面に入り、散々な結果に終わった。いま日本の機関投資家や不動産企業の一部は同市場に戻っている。今回は著名な物件の取得を誇示するためではない。長期的にポートフォリオを分散させ、市場低迷を利用して掘り出し物を手に入れることが目的だ。調査会社MSCIリアル・アセッツによると、日本の投資家は2023年に米州の商業用不動産に37億ドル(約5300億円)を投じ(12月11日時点)、投資額は2016年以来の高水準となった。