写真:能登半島地震の被災地を視察する岸田文雄首相被災地視察で自衛隊、警察、消防の部隊を激励する岸田文雄首相(左手前)(1月14日) Photo:SANKEI

岸田文雄首相による能登半島地震の被災地視察に対して、批判の声が数多く上がっている。なぜこんなことになってしまったのか。(イトモス研究所所長 小倉健一)

岸田首相の総理視察は
被災地「観光旅行」に終わった

 やはり危惧していた通りに、岸田文雄首相の総理視察は無意味な被災地「観光旅行」になってしまったようだ。被災地から不満の声が上がっている。一体何が起きているのだろうか。

 石川県の馳浩知事は、岸田首相の視察でのやりとりを振り返り、現在の被災地のフェーズをこう話している。

「まず、本日、岸田総理、松村(祥史)防災担当大臣と共にヘリから被災状況を視察しました。また、輪島市、珠洲市の避難所を訪問しました」

「今は、発災直後の段階から移行し、1.5次、2次避難を大きく進めるというフェーズであり、岸田総理とは改めて、災害関連死を防ぐため、現地の避難所からできる限り多くの避難者を1.5次避難所や2次避難所等に移送するとともに、孤立集落の避難者を丸ごと金沢市以南の避難所に移送するミッション、この二つの面からの取り組みをさらに加速させる必要があることで一致しました」(1月14日・第21回石川県災害対策本部員会議)

 つまり、現状は発災直後の救急活動、命を守る、救う活動から、第二の段階へと移行する最中であると言っている。今、被災地で求められているのは、感染症が蔓延(まんえん)していたり、インフラもズタズタのままだったりする避難所から、より安全な避難所への「引っ越し」である。

 では、岸田首相の視察は、その流れに沿った形でできたのであろうか。時事通信の「首相動静」(1月14日)を見ると、首相の視察の動線が細かく記されている。必要と思われる部分だけかいつまんで紹介する。