ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。そういった中で「世界の国々をざっと理解できる」「聞いたことない国でもイメージできる」と支持されている本がある。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。
本書は世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本稿では、本書から一部を抜粋して世界の国を紹介する。
広大な草原地帯と世界最長の山脈
本書での南アメリカ南部とは、赤道から南の南米大陸の国々を指しています。
西部にはアンデス山脈が走り、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンをまたいでいます。
それに対して中央部から東部にかけては、グランチャコといわれる平原・湿原がボリビア、パラグアイ、アルゼンチンにまたがって広がります。アルゼンチンを中心としてパンパと呼ばれる草原地帯も広がります。
アンデス山脈が走る西部では、ツンドラ気候や高山気候が南北に広がりますが、海岸部では乾燥した砂漠気候が南北に帯状に広がっています。チリの南部は温帯気候ですが、南米大陸南端は南極に近く、寒帯に区分されます。
他方、内陸部は北から南へ温帯から乾燥帯へ、さらに南端に向かって温帯から寒帯となります。東部は温帯で過ごしやすく、都市が集中しています。
先住民とヨーロッパ移民が混在
アンデス山脈が走るペルー、ボリビアでは先住民の割合が高く、平原のウルグアイ、アルゼンチンではヨーロッパ系の割合が高くなります。
これは、スペインが南米を攻略した際に、高地まで進軍できなかったことや、平原は乾燥や湿地でもともと先住民が少なく、そこへヨーロッパ系の移民が入り開拓したことによると考えられています。
チリ、パラグアイは、ヨーロッパ系と先住民との混血の割合が高いことが特徴的です。
南アメリカ南部の国々は中南米の国々との関係を重視し、自由貿易市場を目指したメルコスール(南米南部共同市場)の中心的な役割を担う国が多いです。
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)