ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。そういった中で「世界の国々をざっと理解できる」「聞いたことない国でもイメージできる」と支持されている本がある。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。
本書は世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本稿では、本書から一部を抜粋して世界の国を紹介する。

ブラジル、コロンビア、エクアドル…南米大陸の北部ってどんな地域?【2分で学ぶ国際社会】南米大陸北部

複雑な地形が生み出す多様な気候

 本書での南アメリカ北部とは、赤道及び赤道から北の南米大陸の国々を指します。

 世界最大の流域面積を誇るアマゾン川は、アンデス山脈を源流として、ほぼ赤道に沿って東流し大西洋に注ぎます。流域には世界最大の熱帯雨林が広がり、ブラジルを中心に7カ国にまたがります。

 南アメリカ北部のほとんどの地域は、年中高温の熱帯雨林気候、雨季と乾季が明瞭なサバナ気候、弱い乾季があるが高温多雨の熱帯モンスーン気候といった、熱帯気候に属します。

 しかし、カリブ海に面したベネズエラ北部では乾燥気候となっており、また、西部にはアンデス山脈が走り、赤道直下でもしのぎやすい高山気候となっている場所もあります。

 さらには、標高が4500mを超えると万年雪が見られます。赤道付近といえども、複雑な地形が多様な気候をつくり出しています。

植民地の名残が各国の公用語に

 南米全体を見ると、スペインの植民地だった地域が多いため、スペイン語を公用語とする国が多いです。

 北部では、エクアドルコロンビアがスペイン語を公用語としていますが、ブラジルではポルトガル語、ガイアナでは英語、スリナムではオランダ語が公用語となっており、宗主国の覇権争いが反映しています。

世界有数の石油産出地域

 またこの南アメリカ北部は、石油が多く産出される地域です。ベネズエラの原油埋蔵量は、石油大国サウジアラビアを凌いで世界第1位を誇り、産出量も世界有数です。

 その他、エクアドルコロンビアでも原油が輸出額のトップとなっています。ガイアナも2020年から石油生産を開始しました。

 南アメリカ北部の国々は、それぞれ中南米諸国との関係を重視し、近隣諸国との友好関係を進めています。その一方で、ベネズエラガイアナには経済関係が密であるものの領有権問題が残り、ガイアナスリナムには国境問題が残ります。

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)