車椅子を押す男性写真はイメージです Photo:PIXTA

日本では年々、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が増えています。しかし、子育てと違い、何年で終わるか分からない上にだんだん負担が重くなっていく介護を自宅で行うのは本当に大変です。仕事との両立に悩んだり、妻に離婚されてしまったりと、さらなる不幸に襲われることも珍しくありません。筆者のところにも、たくさんのビジネスケアラーから相談が持ちかけられます。今回は、ある東大卒エリートのケースを紹介します。(NPO法人二十四の瞳、社会福祉士 山崎 宏)

今年、ビジネスケアラーは300万人を超える

 2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です。

「人は誰しも、自分は正しいと思っている。特別だ、人とは違う、と思っている。(本気になれば)まだまだ自分はデキると思っている」

 何かの本でそんなフレーズを読んだことがあります。長年いろいろな人の相談に応じていると、この傾向がもっとも顕著だと感じるのが高学歴の人です。