死者32万人、被害総額220兆円
そこに原発事故の影響は含まれていない

 本書は序章から第5章までありますが、中心を成す第1章は「浜岡原発を揺るがす東海大地震」で、じつは「ステーション・ブラックアウト」を含めて広瀬さんは福島ではなく、80ページを費やして浜岡原発の事故をシミュレーションしているのです。

 政府の中央防災会議は昨年から、東海地震、東南海地震、南海地震が連動して起きる「南海トラフ巨大地震」の被害人口、経済的影響などを相次いで公表しています。

 この3月18日に発表された公表資料によると、最大で震度7、津波30メートル、死者32万人、被害総額220兆円という気の遠くなるような数値を出しています。もちろんこれは最悪の場合で、対策はこれからですが、それにしても感覚がマヒしそうな数字です。

 しかも、浜岡原発事故の影響は入っていないのです。「南海トラフ巨大地震」は、起きることはわかっていますが、いつ起きるかはわかりません。中央防災会議は原発事故のシミュレーションをしていないので、じつはこれらの予測資料と『原子炉時限爆弾』を合わせて読むべきなのです。

 巨大地震が切迫していることは前述の気象庁の資料を見ればわかります。気象庁は、まず東海地震が起き、その後連動して東南海、南海地震が誘発される可能性があるとしています。

 おわかりでしょうか、『原子炉時限爆弾』は、「南海トラフ巨大地震」が迫るなか、これから読むべき本なのです。
 


◇今回の書籍 5/100冊目
『原子炉時限爆弾 大地震におびえる日本列島』

迫る南海トラフ巨大地震で何が起こるのか?<br />「福島」の的中だけに終わらない警告の意味

「日本を巨大地震が襲えば、原発はメルトダウンという最悪の事故を引き起こし、首都圏崩壊、日本全土が廃墟と化す――」震災前に原子力発電の本質的な危険性を指摘した警告の書。想定される南海トラフ地震の前に、我々は何をすべきか?

広瀬 隆 著
定価(税込)1575円

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