「中国vs台湾の山場」は2月1日!総統選は終わっても台湾がまだ波乱含みの事情とは?Photo:PIXTA

1月13日、台湾では総統選挙と立法委員選挙が行われ、民進党(民主進歩党)が辛くも勝利しました。この選挙については日本でも詳しく報じられていましたが、実は台湾の今後の政局を占う上で、本当の山場は2月1日にやってきます。今年5月20日に行われる新総統就任式を先んじて、この日、台湾の立法院(日本の国会に相当)会議が召集され、立法院長と副院長が選出されるからです。民進党は政権を維持しましたが、立法委員の議席数では国民党(中国国民党)に屈しました。もし、国民党から立法院長が選ばれれば、公平かつ中立的な立法院の秩序を維持するのは難しく、「ねじれ国会」が予想されています。本稿では、今回の台湾総統選挙と立法委員選挙の結果を通して、今後起こり得る立法院会議の混迷を展望してみます。(名古屋市立大学大学院人間文化研究科研究員 齋藤幸世)

二大政党制の台湾だが
2024年台湾総統選は3党による接戦だった

 1月13日、台湾では台湾総統・副総統選挙と立法委員の選挙が行われました。最初にこの選挙について振り返っておきましょう。

 今回は、民進党と国民党との一騎打ちではなく、第2野党である民衆党(台湾民衆党)も加わった3党による接戦となりました。その結果、投票率は前回2020年より3.04ポイントマイナスの71.86%でした。内訳は、各党総統・副総統候補者の獲得票数が、民進党の頼清徳氏・蕭美琴氏558万6019票(40.05%)、国民党の侯友宜氏・趙少康氏467万1021票(33.49%)、民衆党の柯文哲氏・呉欣盈氏369万466票(26.46%)となりました。

 この民進党の獲得票数は、前回の総統選挙で、蔡英文・頼清徳候補が獲得した817万231票(57.13%)を大きく下回り、立法委員も過半数に及びませんでした。一方、国民党は、2020年台湾総統選挙の獲得票数552万2119票を下回ったものの、総統選挙と同日投開票の立法委員の獲得議席数は民進党を1席上回る結果となりました。そして、今回初参戦の民衆党は、369万466票を獲得しました。この民衆党の支持基盤は、主に若年層のネット民と貧困層。柯文哲氏が台北市長時代、2014年からの8年間で各種SNSと積極的な直接交流により獲得した支持者に加え、昨年から使用し始めたTikTokにより拡大したさらなるファン層が、民衆党の支持基盤になっています。