日本でブランド品がめちゃくちゃ売れているワケ

 一方で、今、ラグジュアリーブランドが目を向けているのが日本市場だ。

 世界の統計データを扱う「スタティスタ」は2024年の市場の見通しについて「中国の収益については560億ドルで3.93%、日本は323億ドルで中国よりも高い4.69%の成長」だと公表した。また投資家向けの情報プラットフォーム「アジアファンドマネージャーズ」も、「日本のブランド品市場はここ数年で急速に回復し、2023年は夏のボーナスの増加と観光部門の活発化でこれらの支出が増加した」と報告している。

 日本のラグジュアリーブランド市場の伸びについて、アジアのファッションマーケットに詳しい事業開発研究所(東京都)の島田浩司代表取締役はこう語っている。

「今、日本でラグジュアリーブランドが非常によく売れています。その要因には、今まで主要な客層ではなかった日本人がブランド品を買うようになったことがあります」

 日本の株式市場が活況を呈していることも一因だろう。ユーチューバーやインフルエンサーなど新興の所得者層の出現、“パパ活”を通じて高額を得る女子たちや、歌舞伎町に見るような“一夜で高額を売り上げる業態”が新型の経済圏を成すようになってきたことも、「これまでにない客層の消費」を生んでいる可能性がある。

 近年はネット販売も充実するようになった。こうした購入環境の変化は、身なりやマナーに気を遣うブランドショップに行かなくても、欲しい商品を手に入れることができるようになったという意味で、新たな顧客層にとってハードルをかなり低くしていると言える。

 日本に再びブランド消費をカムバックさせ、すそ野を広げるようになったのは、確かに新たな消費者層の参入があるといえそうだ。