大和ハウスは分譲シフト
オープンハウスは社内改革

 最も大胆な戦略変更を打ち出したのは、「分譲シフト」を宣言した大和ハウスだ。

 主力である注文住宅を維持しつつ分譲住宅を伸ばして、27年度に注文住宅3000棟(22年度は4191棟)、分譲住宅7000棟(同1571棟)の、計1万棟の販売を目指す。

 従来の顧客層からターゲットを拡大し、飯田グループやオープンハウスなどパワービルダーの顧客層を奪う狙いだ。

 大和ハウス最大のライバルである積水ハウスの関係者は「大和ハウスの分譲シフトは、ハウスメーカーの看板を下ろしたも同然」とやゆする(詳細は本特集#4『大和ハウス、戸建て事業での土地爆買いが「昔のオープンハウス」そっくり!?注文・分譲両取り作戦の勝算は?』参照)。

 これに対し、積水ハウスは7000億円もの巨額を投じて、米国のハウスビルダーを買収する大勝負に打って出た。「米国シフト」を鮮明にしたのだ。大手ハウスメーカー関係者は「国内市場が厳しいから米国シフトを敷くのは理解できるが、それにしても積水は思い切った」と語る(詳細は本特集#5『積水ハウスが米国で7000億円買収!住友林業と大和ハウスを逆転するも、「大博打」に潜むリスク』参照)。

 そして、売上高1兆円を突破して住宅業界五指に食い込んだオープンハウス。「次の1兆」を目指して新領域への進出にも備えようと、社内改革に踏み切った。オープンハウスの成長を支えてきた破壊力抜群の「モーレツ営業」を封印したのだ(詳細は本特集#2『オープンハウスが自慢のモーレツ営業力を「封印」した裏事情、売上高1兆円達成でも“息切れ”危機!』参照)。

 この5年で住宅業界の序列は、大和ハウス、積水ハウスという不動のツートップに変動はなかった。だが、3位以下の勢力図は大きく変わった。

 13年11月に6社が統合して誕生した飯田グループに次ぐ大型再編が20年1月、業界を騒然とさせた。

 旧パナソニックとトヨタ自動車が「プライム ライフ テクノロジーズ」を設立し、パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホームの3社を傘下に収めたのだ。これによりプライム ライフ テクノロジーズが業界5位に躍進した。

 そのプライム ライフ テクノロジーズを抜いたのが、オープンハウスだ。18年9月期からわずか5年で売上高を倍増し、業界五指に入った。今や4位の飯田グループに肉薄している。

 そこへやって来た一戸建てバブル崩壊前夜。市場縮小で生き残り競争の過熱が見込まれる中、各社はいよいよその真価を問われることになる。食うか食われるか――。領空侵犯も辞さない、新旧入り乱れた序列激変必至の大バトルが始まった。

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