スマホを持っていない人や
操作できない人への対応は

 JR九州は券売機の代わりに乗車証明書発行機を設置しなかったため、乗車証明は自己申告に頼らざるを得なかった。当然、不正が入り込む余地があり、トラブルにつながることもあったのだろう。

 それがスマホで乗車証明を取得できるようになれば、あらぬ疑いをかけられぬようになるという意味で「サービス向上」なのかもしれないが、やはり、コスト削減の「埋め合わせ」を乗客に丸投げするのには違和感がある。

 そもそもスマホを持っていない人もいるし、高齢者に限らず、このような操作に慣れていない人は戸惑うだろう。証明書を取得できなかった人はどうするのか。

 ポスターには「係員が乗車駅を確認出来ない場合は、列車始発駅からの運賃をお支払いいただきます。また、不正に乗車したと判断される場合は運賃と増運賃をお支払いいただきますのでご留意ください」とある。

 JR九州東京支社に聞くと「スマホをお持ちでないお客さまについては、降車駅の係員が乗車駅について確認させていただきます」とのことで、さすがに乗車証明を持たない人全員がこのような扱いを受けるわけではないだろうが、自己申告から切り替える以上対応は慎重になるだろう。「疑い」と紙一重の「確認」に抵抗を覚える人もいるはずだ。

 同社は今回の取り組みについて「一部駅には券売機がなくきっぷを購入することができないお客さまに対して、ご自身でQRコードにより乗車証明書の発行をお願いすることとなりますが、ご理解たまわりますと幸いです。引き続き、お客さまに目的地までの切符を正しく購入いただけるよう、取り組みを進めて参りたいと考えております」と理解を求める。