40歳を超えたらやってくる
体の“ある変化”

【医師が教える】チョコレートの“偉大な健康効果”、初老のチョコ好きが長生きする納得の理由慶應義塾大学医学部教授の井上浩義氏。(Photo by Wataru Mukai)

 もともと体には活性酸素の働きを抑える酵素があります。代表的なものだと、SODやグルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼなどがそれに該当します。しかし、これらの酵素をつくる体の機能は、40代を境に急激に減少すると言われています。

 つまり、40代になると体内で発生する活性酸素を体の機能だけでは処理できなくなり、活性酸素が過剰な状態になりやすくなります。体で酵素をつくれない以上、口から摂取するしかありません。40代を超えたらチョコレートを食べたほうがいいというのは、こうした根拠に基づいた提言なのです。

 激しく運動することを仕事とするアスリートたちも、抗酸化物質を意識的に取り入れ始めています。特にサッカーのJリーグは選手たちのコンディショニングの一環として、抗酸化物質の積極的な摂取に力を入れています。

 大学で授業を持っているとバレンタインに学生からたくさんチョコレートをもらいます。単位認定の時期と被るからでしょうか。そんなことを考えると素直に喜べないのですが、必死さは伝わってきます。

 皆さんもバレンタインデーには、チョコレートを渡し、渡されることが多くなる時期だと思います。ぜひ、この記事を読んだことをきっかけにチョコレートを食べる健康習慣を実践してみてください。

参考
※1 Bayard V, Chamorro F, Motta J, Hollenberg NK. Does flavanol intake influence mortality from nitric oxide-dependent processes? Ischemic heart disease, stroke, diabetes mellitus, and cancer in Panama. Int J Med Sci. 2007;4(1):53-58. Published 2007 Jan 27. doi:10.7150/ijms.4.53
※2 鈴木 隆雄(1996)『日本人のからだ―健康・身体データ集―』(朝倉書店)