失敗を「経験」だと考える人も、「傷」と捉える人もいる。「経験」だと考える人は、失敗を通じて自分の限界や長所と短所、欲望に気づくことができるだろう。結果、失敗はその人の心の資産になる。一方、ただの「傷」とするのであれば、失敗した原因はずっと解決しないままだ。このように、考え方の違いは、わたしたちの感情や行動をがらりと変える。失敗は失望をもたらすけれど、それをどのように捉えるかは自分で決めることができるのだ。みなさんは、どうだろう。わたしは苦痛は短く、メリットは大きくなるように考える努力をしたいと思う。

 失敗という言葉を使うのは、苦しい状況におかれたときだ。それでも自分自身の気持ちが軽くなるように努力して、自責の念を抱きつつ、ある瞬間、失敗をひとつの経験として受け入れられるようになったなら、失望という感情は消えていくだろう。そして失敗という名の苦しみに再び直面したとしても、そのときはもう、失敗から得るものを見つける術を身につけているはずだ。このような姿勢は現実的で、ポジティブな生き方だと思う。

 みなさんも、合理的で前向きな考え方を身につけて、失望を和らげることができますように。そして、小さな失望の経験を成長の糧にできますように。