「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第3弾は「新しい時代の生活を守る業界」として、「食品業界」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)
足元の食品業界は、インフレという大きな波に飲まれている。少し前まで、食品メーカー各社はコスト高でもなかなか値上げをできなかった。
だが最近は、値上げに対する消費者の受容性がある程度広がり、業界は底打ちから上昇傾向に転じつつある。
また、コロナ禍が明けて街に人が戻るにつれて、コンビニエンスストアやレストランなどに客足が戻ってきた。必然的に、そうした店舗に食材を卸している食品会社の業績も上向いている。食品業界は、外食や小売りなど他産業の影響を受けやすい側面もあるのだ。
海外で戦うためには
挑戦する心が大事
食品業界の基本的な戦略は、食品のカテゴリーを増やすことだ。
最近では海外に活路を見いだすケースも増えており、いかに海外の販路を強化していくかがポイントとなっている。調味料関係では、すでに利益のほとんどを海外で稼ぐ企業もある。
そうした自力展開型の企業とは別に、ビール、飲料、たばこなどの企業はグローバルで再編してきた歴史がある。海外進出の時間短縮のため、外資系をM&Aで買収するケースだ。
海外展開が進む食品業界で働きたい人にとっては、挑戦する心が大事だ。海外の大手量販店のバイヤーなどに強い気概を持って立ち向かわないといけないからだ。
日本人同士なら「日頃の付き合い」でクリアできる部分もあるが、海外ではそうはいかない。「イエス・ノーをはっきりさせ、自分の意見をしっかり相手に伝えなければ販路開拓は難しい」(野村證券アナリストの藤原悟史氏)。
食品のトレンドは移り変わりが激しいため、時代の流れを先読みするアンテナの高さも必要だ。新たな主力食品のカテゴリーを創出するくらいの好奇心があれば、活躍の機会も増えるだろう。