総合商社で求められる人材像は、今や変わりつつある(写真はイメージです) Photo:PIXTA総合商社で求められる人材像は、今や変わりつつある(写真はイメージです) Photo:PIXTA
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2024」の「親子で考える キャリアを実現する業界・企業選び」を転載したものです。

「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第2弾は「新しいビジネスを創る業界」として、「総合商社」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

人材ニーズは多様性と創造力

 最近、米国の有名投資家ウォーレン・バフェット氏が、日本の五大総合商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)に目を付け、出資比率を増やし、株価が急上昇。今も絶好調だ。

 そんな総合商社の共通目標は、持続可能な社会の実現(脱炭素が中心)と収益性の両立だ。また、業界を超えた社内外の関係者とチームを組み、利害関係を調整しながらプロジェクトを成功させていく役割が強くなっている。

 かつては商品・サービス分野別の縦割り組織の中で経験を積み、その業界のプロになるのが、社員の基本的なキャリアパスだった。

 そのベースは維持しつつ、世の中の課題が複雑化する中で「産業横断的にさまざまな業界のビジネスを結び付けられる人材、論理的思考力のみならず創造力のある人材が求められている」(商社を目指す大学生の就活を支援するTHE BEYOND創業者の佐野智弘氏)という。

 最近では、DX(デジタルトランスフォーメーション)とビジネスを結び付けられる素養を持つ、理系院生の内定者の割合が増えている。他にも特殊な知識、例えば一級建築士を現役取得した建築学科の大学院生がスマートシティービジネスに配属されたり、高い感性を買われた芸術系大学生がリテールビジネスに配属されたりといった風潮も出てきた。その意味で「能力の多様化」が進んでいる。