人と組織が自ら動き出す企業変革手法「カスケードダウン」入門(1)〈PR〉

「経営計画を達成したい」「生産性を向上したい」「DXを加速したい」「組織風土を変えたい」「人的資本経営に取り組みたい」「離職増加をくい止めたい」……。経営陣は将来の企業の姿を描きつつ、さまざまな変革に取り組むものの、「何をやってもうまくいかない」「何度やっても結果が出ない」という企業も少なくありません。

『カスケードダウン――人と組織が自ら動く経営戦略の浸透策』は、そんな悩める企業のための変革手法「カスケードダウン」のノウハウをまとめた1冊です。本連載では、企業変革の勘所とカスケードダウンの基本を3回にわたってお伝えします。

やらされ感を伴う仕事は
決して良い結果を生まない

「しっかりと社員に経営戦略を伝えている。なぜ結果が出ないのか?社員の意識に問題があるのではないか……」

 企業の経営者や経営企画部門の担当者と話をしていると、よくこんな悩みを打ち明けられます。

 確かに多くの企業では、トップの年頭あいさつ、社内報、中期経営計画……、事あるごとに社員に経営方針や成長戦略、事業経営計画といった経営戦略を発信しています。

 しかし、社員にとって「伝えられた」だけとなっていないでしょうか?つまり、「理解し、納得し腹に落ちている」状態ではない。

「伝えているのに動かない」と感じているなら、ぜひ一度、経営戦略が浸透しているか、社員の皆さんに聞いてみてください。

 おそらく9割の社員が

「経営が何をどうしたいのか分からない」
「会社がどこに向かうのか見えてこない」
「経営戦略が漠然としていて分かりにくい」

 と答えるでしょう。

 企業では、往々にして経営戦略の全てが上層部のクローズドな場で決められ、部門ごとの課題やノルマだけが指示命令として現場に伝えられます。

 経営戦略の本来の目的をよく理解していない社員は、ただ上からの指示や命令をこなすことが目的化しがちです。当事者意識も主体性もありません。やらされ感を伴う仕事は、決して良い結果を生まないのです。

経営戦略を浸透させる
「カスケードダウン」

 では、経営戦略を社員に理解・浸透させ、経営陣が思い描いた姿を実現していくには、具体的に何をすれば良いのでしょうか?

 それを実現する企業変革の手法が「カスケードダウン」です。

 耳慣れない用語かもしれませんが、カスケード(cascade)とは、英語で階段状に連なる小さな滝を意味する言葉です。ビジネスにおけるカスケードダウンでは、組織の上位層から下位層まで、全社の経営戦略を浸透させ、個々の社員の職責や業務の範囲までタスクを細分化して、滝が流れるように伝えていきます。

 細分化というと、目標管理制度(MBO)で経営戦略をブレイクダウンし、個人ごとの目標を設定し管理する方法と同じように見えますが、カスケードダウンと目標管理には決定的な違いが二つあります。