Oishii Farmのイチゴ工場Oishii Farmのイチゴ工場は、太陽光発電で電力を賄い、完全無農薬で生産できることが消費者や投資家から評価されている 写真提供:Oishii Farm

世界で初めて植物工場でイチゴの量産に成功したOishii Farmが2月28日、NTTや安川電機などから200億円の出資を受けたと発表した。Oishii Farmは調達した資金で工場を増設し、全米の高級スーパーにイチゴを供給する体制をつくる。同社の古賀大貴CEO(最高経営責任者)に、イチゴの生産性を3年間で5倍にできた秘密や、植物工場で100兆円産業を創出する野望を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

トヨタ、ソニー系のファンドなど
大企業が出資するイチゴ工場の“強み”とは

 世界で初めて、太陽光を使わない完全閉鎖型の植物工場でイチゴの量産を始めたOishii Farmが、世界展開に向けて200億円の資金調達を行った。これは、植物工場の本格的な普及の一里塚となるかもしれない。

 Oishii Farmは従来、トヨタ自動車や三井住友銀行が出資するスパークス・グループのファンド、ソニーイノベーションファンドなどから出資を受けていた。今回の資金調達で、NTTや安川電機、荏原製作所、みずほ銀行、三菱食品などが株主に加わった。

 増資に踏み切った理由は、米国ニュージャージー州にあるイチゴ工場を、他州にも展開するためだ。

 工場を増やす前に、Oishii Farmはイチゴ生産の低コスト化を徹底して進めた。3年前、50ドルで販売していたイチゴ1パック(約230グラム)を10ドルで販売しても採算が取れるようになったのだ。

 次ページでは、Oishii Farmがイチゴの生産性を3年間で5倍にできた秘密や、植物工場を世界で普及させることで100兆円産業を創出する野望を明らかにする。