――「固定観念を打ち破ろう」という発想ですか。それが結果的に急成長につながったと考えると、目論見は見事に当たったというわけですね。

「そのくらいの価格なら妥当じゃない?」と誰も驚かない程度だったら、顧客も「やらなければ損」とは思わないでしょう。社内で反対されるくらいがちょうどいいと考えていました。もちろん、価格を決めるまでには様々なテストを重ねました。

新サービス導入前には
必ずテストして反響を調べる

――新規出店にかなり力を入れてきたと思いますが、店舗を現在のような形態にしたのは、どのような判断があったのでしょうか。

「チョコザップ」黒字化で“限界突破”に挑むライザップ、瀬戸健社長が明かす拡大戦略の深層chocoZAPのサービスのひとつ「セルフホワイトニング」
(Photo:RIZAP)

 新規出店と同時に、どのマシンがどれだけ使われているのかを常に検証してきました。コンビニエンスストアで、各商品の売り上げデータを取得するのと同じです。

 当社はジムというサービスを提供しているので、マシンの使用率や使用人数などのデータをきちんと分析して、より良いサービスとして還元する必要があります。供給者側の視点だけでマシンを配置しても意味がありません。結局のところ、需要と供給のバランスが重要で、どのマシンがどれだけ需要があるかを検証し、それに基づいて適切な台数を検討しながら品揃えを調整しています。

 コンビニのように、新しい商品があれば提案しています。その一例が、昨年9月に発表した「セルフホワイトニング」「セルフネイル」「マッサージチェア」など6種類のサービスです。新サービスを導入する際には、必ずテストを行い、反響の変化や既存店舗との比較を行います。利用者数や継続率にどれだけ影響を与えるかを含め、すべてのデータを収集し、導入するかどうかを判断しています。そうした結果、現在のような店舗形態になっているのです。

――これだけ店舗数が多いと、個々の顧客の属性を分析するのは難しくないですか。

 そこはあまり苦労していません。ただ、他のサービスでも同じように、顧客の購買履歴や好みに基づいてパーソナライズされた提案を続けていると、サービス内容が類似してくるという課題もあります。そのため、顧客の潜在的なニーズに応えるような新しいコンテンツを定期的に導入することが、顧客を飽きさせず、他社と差別化する上でも重要だと考えています。