関西・九州共に根強い地元志向
九州大で半導体企業の人気が高い理由
各大学の23年のランキングトップ5を見てみよう。
大阪大は、アクセンチュアと関西電力がともに1位で、三菱電機が3位、楽天グループとNTTデータがともに4位だった。コンサルティング業界が人気なのは、東京大学や京都大学と同様だ。また、関西ゆかりの企業である関西電力やダイキン工業、パナソニックなどの人気も根強い。
前年1位だった三井住友銀行は6位に下がり、三菱UFJ銀行は前年のランキング外から15位に浮上した。また、村田製作所が前年13位からランキング外となり、島津製作所は前年のランキング外から18位に浮上するなど、同業他社の間で変動があった。
神戸大は、神戸大学医学部附属病院、関西電力、クボタ、三井住友銀行、そして富士通の順だった。また、神戸市役所や兵庫県庁などの自治体への就職も相変わらず多い。民間企業への就職は、大阪大と似た傾向が見られる。大阪市に本社を置く住友電気工業は、前年のランキング外から8位に上昇した。関西地域への志向が根強いようだ。
九州大は、九州大病院、九州大、九州電力、福岡県、日産自動車の順だった。日産自動車の人気は、福岡県苅田町に巨大な工場を有している影響だろう。
また、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、マイクロンメモリジャパンが前年のランキング外からそれぞれ16位と17位に上昇した。さらに、東京エレクトロンも引き続きランクインするなど、半導体関連企業の人気が高い。
マイクロンメモリジャパンは、九州から比較的近い広島県に本社を置き、工場を増強しているため、半導体の専門知識を持つ人材の需要が高まっている。また、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングや東京エレクトロンの工場が熊本県にあることから、九州大の人材が重宝されているようだ。
さらに、熊本県には台湾からTSMCが進出してくることもあり、今後は半導体関連の人材獲得競争がより激しくなるだろう。
*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。
2023年春の大学別の主な就職先。就職先名称は原則としてアンケート調査時点の各大学の回答による。大学通信の調査方法によって表記しているため、正式名称と異なる場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」から集計、大学院修了者を含む。(調査/大学通信)